40代の障害者が障害者枠で転職を成功させるには?

2020年6月17日

近年ますます増加傾向にある障害者の雇用数。一般的に年を取ると転職が難しくなると言われますが、40代の方が、障害者枠での転職をすることは可能なのでしょうか。40代の障害者雇用枠の転職についてまとめました。

40代の障害者転職の傾向

 まずは40代の障害者の転職市場の実状を見ていきましょう。

40代、50代が、障害者の転職の半数以上

 ハローワークの障害種別、年齢層別就職件数(表1)を見てみると、40代(赤)が各年代の中でも転職者数が多くなっており、40代(赤)と50代(ピンク)を合わせると、障害者全体の転職者数の半数以上を占めていることがわかります。40歳を超えると転職は難しくなるのではと思う方もいらっしゃるかと思いますが、障害者枠での転職の実態はそうではないことがわかりますね。

(表1) 厚生労働省 労働市場分析レポート 平成30年4月27日 参照

40代の障害者の転職が多い理由は、40代になってから障害を発症する人が多いから

 ではなぜ若手ではなく、40代の障害者が数多く転職しているのでしょうか。理由の一つに障害を発症するタイミングが挙げられます。
 H24年に内閣府が出している「障害者白書」に記載のある、障害の発生時の年齢分布を見ると、40代で障害を発症した人が各年齢層の中でトップになっています。具体的には「身体障害者の場合、40代以降の発生が6割〉、「精神障害者の場合、3割強」を占めています。40代の障害者の転職が多い理由は、このデータから想像できますね。

40代の障害者枠への転職の難易度は?

 では次に40代の障害者の転職の難易度を様々なデータから見ていきましょう。

障害者雇用に年齢制限はない

 平成19年に新しく施行された雇用対策法により、企業が採用活動を行う際には、年齢制限をかけることを原則禁止としています。これは障害者雇用についても同様です。企業は法律に沿って、年代に制限なく、求人を出しています。

40代の障害者枠求人は増加傾向にある

 厚生労働省職業安定局が発行している「障害者雇用の現状等」では、平成18年の障害者の就職数が約4万件となっており、平成28年には約9万件と倍増しています。
 そのうち、この10年間で、雇用数が約6千件から約4.1万件へと、最も就職数の割合が増えた精神障害者の、年齢別の雇用者割合を見てみます。35歳~40代以上の雇用者割合が約60%から約80%へと、最も増えていることがわかります。なかでも40代前後(茶色)の上がり幅が顕著です。(表2)

(表2)厚生労働省職業安定局「障害者雇用の現状等」 平成29年9月20日

 この表から、35歳〜40代がより多く雇用されてきたことがわかります。IT化やグローバル化などの社会情勢により、障害者枠で雇用される方は、即戦力となる人物を企業側が強く求める傾向が影響していると考えられます。

スキルが同等であれば若手が有利

 一方で、20代、30代の若手だからこそ持っている柔軟性を求めるケースもあります。一般的に、スキルが同じレベルであれば、40代よりも今後の長い活躍が見込まれる若手が採用される傾向はあります。

転職に成功した40代の障害者の条件とは?

 40代の障害者の就職者数は増加していますが、企業は実際に何を求めているのでしょうか。これまで転職に成功してきた40代の障害者の共通点をまとめてみました。

即戦力として活用できるスキル

 40代の転職で最も重要なのは、その企業で即戦力として活躍するのに十分なスキルを持っているかということです。40代だからこそ持っている、ある特定の職種においての6、7年以上に渡る実務経験が、たとえそれが部分的であったとしても、新しい職場環境に活かせるものなのであれば採用の可能性は格段に高まります。

マネジメント経験などの幅広い実務経験

 さらに、若手がなかなか身につける機会がない、マネジメント経験や、様々な部門や職種に横断した実務経験は、より良い転職への大事な条件です。経験豊富だからこそ、若手以上に柔軟な対応ができる40代の方もたくさんいらっしゃいますし、企業側もその存在を強く認識しているようです。

40代の障害者が企業での選考時に必要なアピールポイント

 面接の際に受ける印象で大きく結果は異なります。40代の障害者が面接の際に大事にしたいポイントを企業側の視点からまとめました。「これまで実績があるから大丈夫」、「配慮を受けられる環境であれば問題ない」という考えの人は気をつけた方がいいかもしれません。

意欲ではなく実務や実績をアピール

 40代の障害者の方は、面接の際に意気込みをアピールするよりも、実務や実績をアピールした方がより良い結果に結びつきやすいです。
 これまで実務経験が新しい環境でどう活かされるのかを明確に伝えられることが、選考を有利に進めていくために必要なことです。自身を客観的に理解し、応募企業の特徴や職責への理解が重要になってきます。

謙虚さと、新しい環境から吸収する姿勢

 新しい環境に入るからにはその環境にできるだけ早く馴染むことも大切です。そのために、過去の実績にとらわれない謙虚さ、周囲の人から学び取ろうとする姿勢が必要になります。面接の際に実績を伝えることは大切ですが、自慢話にならないように気をつけつつ、周囲から学びながら実績を上げてきましたと、伝え方を工夫することも大切ですね。

40代の障害者が面接のときに気を付けるべきポイント

 障害をオープンにするからこそ、面接で聞かれる内容があります。一般枠では聞かれない質問があります。オープンだからと言って正直に全て話せばいい訳ではないのが難しいところです。事前準備をしっかりと行い、より良い結果に結び付けましょう。

過去の転職理由をどう伝えるか

 面接では過去の転職理由は必ず聞かれます。それは同様の理由で退職につながらないかをチェックするためです。大事なことは「新しい職場へ前向きな意思を持って転職した」と伝え方を工夫してみること。どうしてもネガティブな理由しか思い当たらない場合もあるかと思いますが、そのまま面接を迎えることはおすすめしません。

一般枠でなく、障害者枠を希望する理由

 障害者枠で働くことで何を実現したいのか。明確なものがある人とない人では、就職してから差が出てきてしまいます。自己理解が進んでいる40代だからこそ、何を求めるかを明確にできているとより良いですね。

ブランク期間や休職期間をどう伝えるか

 40代の障害者の方の中には、これまでの経歴の中でブランクや休職していた期間がある方も多くいらっしゃると思います。療養期間に何をしていたのか、なぜ休職するきっかけになったのか。必ず企業から聞かれる質問ですので、悪い印象を持たれないような伝え方を準備しておく必要がありますね。

40代で障害者枠への転職をする際には外部のサポートを受けるべき?

 個人で障害者枠への就職転職活動を進めていくのは、かなりの労力がかかると考えられます。障害者雇用枠での就職がはじめての人ならなおさらです。転職の専門家の力を借りることで転職をスムーズに進められるでしょう。

転職エージェントからの応募がおすすめ

 40代の障害者の方は転職エージェントを利用することをおすすめします。転職エージェントは、紹介する企業から紹介料をとっているので、求職者には一切お金がかかりません。身近な信頼できる人の中で、障害者の転職について詳しい人は、なかなか見つからないのではないでしょうか。転職エージェントは、求人情報の提供及び、障害者雇用を成功に導くためのアドバイスを実施します。

転職エージェントは希少な高待遇求人を複数所有

 ハローワークやネット上にない求人を、転職エージェントは所有しています。企業は転職エージェントに非公開で求人を依頼していることがあります。公の場に求人を出して、応募が殺到することを避けるためです。高いスキルを持った人材を効率的に集めるために、転職エージェントを利用しているのです。

障害者枠の面接対策もしっかりサポート

 障害者枠の面接準備も障害者専門の転職エージェントに相談しましょう。面接時に聞かれる質問から、回答の準備まで、幅広いアドバイスを受けられます。必要に応じて面接の練習を行うこともあります。

まとめ

 40代の障害者枠の求人は年々増加しています。時代の流れに沿い、これからもより障害者への理解が進むことが考えられます。そうは言っても障害者枠での転職はなかなか事例が少なく何から手をつけていけばいいのかわからないもの。転職を前向きに考えたい方は、転職エージェントに相談して、よりいきいきと働ける職場を見つけましょう!