法定雇用率って?障害者雇用枠で働く人に知ってほしい制度

2020年7月12日

法定雇用率は、障害者雇用の仕組を理解するために知っておいた方が良い言葉です。法定雇用率を正しく理解することで、今後の障害者雇用枠の就業状況を、正しく読み取ることができます。この記事では、障害者雇用の法定雇用率の仕組みやこれまでの成り立ち、今後の流れを詳しくみていきます。より良い働き方の実現に向けて、法定雇用率を正しく理解していきましょう。

法定雇用率とは

日本では、採用の自由という法律の原則により、雇用主がどのような者をどのような条件で雇用するかは自由である、と定められています。しかし、雇用の公平性の観点から、この原則に対して制限をかける必要もあります。障害を抱えている方の様な、就業で不利になる人がいるためです。障害者の雇用を保護するために、障害者雇用促進法という法律が制定されました。その中で障害者雇用率制度(通称:法定雇用率)という制度が定められています。

全労働者数に対する、障害者雇用枠で雇用すべき労働者数の割合

障害者雇用促進法では、民間企業や地方自治体の事業主に、一定数以上の障害者を雇用する義務を課しています。その際に用いられる数値目標が、障害者雇用率です。この障害者雇用率は法定雇用率と呼ばれており、企業に所属する常用労働者の数のうち障害者雇用枠で雇用すべき労働者の割合を指します。

法定雇用率の算出方法

法定雇用率は日本で働いている常用労働者(週20時間以上働いている人)と失業者、障害者の人数から算出されます。

障害者雇用率=(身体障害者、知的障害者及び精神障害者である常用労働者の数+失業している身体障害者、知的障害者及び精神障害者の数)÷(常用労働者数+失業者数)

2020年6月段階では民間企業の法定雇用率は2.2%となっていますが、これはここ数年の労働人口にあわせて決められた数字となっています。労働者数や失業者数、障害者の人数は年によって増減がありますので、法定雇用率は5年ごとに見直されることが決まっています。

法定雇用率は企業が達成すべき目標の割合です。実際に企業が雇用すべき障害者の人数を算出するには、

 障害者雇用枠で雇用すべき障害者の人数=(常用雇用労働者数+常用雇用短時間労働者数×0.5)×障害者雇用率(2.2%)

という式で計算します。ここでいう常用雇用労働者は週30時間以上勤務している人、常用雇用短時間労働者は週20時間以上30時間未満勤務している人を指します。

さらに、障害者雇用枠で雇用する障害者の数には、特別な人数カウントのルールが存在します。このルールは、障害の程度や所定労働時間の違いによって人数カウントの公平さが失われないようにするために定められているものです。具体的には、重度障害者(身体、知的のみ)を1人当たり2人分として、短時間労働者(週20~30時間)を0.5人分として、カウントしています。

※重度障害者:身体障害者手帳1級もしくは2級、療育手帳区分Aを所持する方

法定雇用率にまつわるお金の話

厚生労働省が出している平成30年障害者雇用状況の集計結果によると、法定雇用率を達成している企業は全体の45.9%にとどまっています。法定雇用率未達成の企業(常用労働者100人超)は納付金が徴収されることになっています。また、障害者雇用に伴う事業主の経済的負担の調整を図るために、法定雇用率を達成している企業には国から調整金の支給があります。

法定雇用率を事業主が達成した場合

雇用率達成の事業主には超過一人当たり月額2万7千円が調整金として支給される。

(常用労働者100人以下の中小企業事業主には超過一人当たり月額2万1千円)

法定雇用率を事業主が未達成した場合

雇用率未達成の事業主には不足一人あたり月額5万円が納付金として徴収される。

(常用労働者100人以下の中小企業からは徴収していない)

障害者雇用枠で働きたい人へ補足

常用労働者100人以下の中小企業は大企業に比べて、障害者雇用にかけるお金や労力に余裕がないことが多く、納付金の徴収が行われておりません。そのため現状では、障害者雇用が進んでいない中小企業が多くなっています。ですので、障害者雇用枠で安定した就労を目指す方の場合、従業員100人以上の大企業の求人の中から探すことが一般的です。

法定雇用率の変化

法定雇用率は労働者や障害者の人数の変化に応じて適切な数値を算出するために、5年に1度のタイミングで見直しが行われています。むやみに割合を上げているわけではないものの、年々法定雇用率の数値が上昇しているということは、全労働者あたりの障害者の人数が増えてきていることを示唆しています。これまでの障害者雇用枠の法定雇用率の変化を見ることで、今後の数値の推移について考えてみましょう。

1976年の1.5%から開始

障害者雇用率制度が始まったのは、1960年の身体障害者雇用促進法という法律がきっかけです。当初は障害者雇用に法的義務はありませんでしたが、1976年には法的に義務化されました。その当時の法定雇用率は1.5%、雇用対象は身体障害者となっており、現在の障害者雇用の原型となっています。

現状は2.2%

2020年6月現在の法定雇用率は、民間企業で2.2%となっています。障害者雇用率制度が始まった当初から割合が増えているのは、障害者の人数が増えたからだけではなく、知的障害者が1998年から、精神障害者が2018年から障害者雇用枠の雇用者数にカウントされるようになったことが主な理由です。

精神障害者が障害者雇用枠でカウントされるようになってまだ間もないですが、障害種別に見ると精神障害者の雇用率の伸びが最も高くなっており、民間企業において精神障害者を採用する企業が増えている印象を受けます。

2021年4月までに2.3%に引き上げ

2018年の段階で、2021年4月までに法定雇用率が2.3%に引き上げされることが決まっています。法定雇用率が1976年の1.5%から現在2.2%に上昇するに伴って、障害者雇用枠で働く人の人数も1977年の約13万人から、2016年には47万人となり、雇用者数は13年連続で過去最高を更新しています。今後法定雇用率がさらに引き上げられることにより、障害者雇用枠で働く障害者の人数は増えていくことが予想されます。

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