合理的配慮とは?実施プロセスや具体例も解説

合理的配慮とは、障害の有無に関わらず、誰でも平等に人権を享受・行使できるように、適切なサポートを行うことです。2016年4月に施行された「障害者差別解消法 (障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」により、行政・学校・企業などで、合理的配慮を提供することが求められるようになりました。
この記事では、合理的配慮についての概要、種類、対象者、課題などについてご紹介します。

 

合理的配慮とは

合理的配慮は、障害者が社会で生きづらさを感じないようサポートするという、近年注目されてきている考え方です。
ここでは、合理的配慮の概要や、合理的配慮という考え方が生まれた背景についてご紹介します。

合理的配慮の概要

合理的配慮は、障害者が、障害がない人と同様の生活を行うために必要な支援を行うという考え方です。2016年に施工された「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」という法律のもと制定されています。
この法律の目的は「障害の有無に関わらず、お互いにその人らしさを認め合いながら共に生きること」です。
また、ここでいう「社会」とは具体的に行政や学校、企業などあらゆる場面を指します。

合理的配慮の歴史的背景

では、合理的配慮という考え方が広まるまでには、どのような流れがあったのでしょうか。合理的配慮が含まれる「障害者差別解消法」が制定されるまでを振り返ってみましょう。

1970年代から合理的配慮という言葉は存在していましたが、大衆に知られるようになったのは2006年ごろと言われています。この年に、国連総会で「障害者権利条約」が採択されました。障害者権利条約では「合理的配慮を否定することは、障害を理由に差別しているのと同義」ということが記述され、合理的配慮の重要さを明確にしています。

また、条約が制定される過程で、障害を持つ当事者たちが関わったことも、大きな意義を持ちました。
当事者たちが、「自分の生き方は自分で選ぶ」という主体性を主張したことで、合理的配慮は障害を持った方の意見を提示することが重要であり、障害のレベルや環境に合わせた対応が求められるものとして世界中に広まっていきました。
なお、日本は、国連総会で制定された翌年の2007年に署名を行い、条約の内容に基づいた法の整備、制度改革が行われています。

以上のような流れで、国内外に合理的配慮の概念が広がってきました。

 

合理的配慮の種類

合理的配慮が受けられる障害者は、身体、知的、発達を含む精神障害、そのほか心身の機能障害を持つ人が、日常生活、社会生活に困難が生じる状態と定義されています。

合理的配慮は、障害特性や社会生活の具体的な状況によって異なり、多様性があることが特徴です。積極的なコミュニケーションから、相互の理解を通じ、臨機応変の対応が求められます。
では、日本における合理的配慮とはどのようなものがあるのでしょうか。

主な支援内容には、身体障害者が移動する際に利用する交通機関でのサポートや、精神障害者への心のケアなどがあります。
ここでは、生活面や就労面での合理的配慮の種類・形態をより具体的に例示を挙げてご紹介します。

生活面

障害者が生活していくうえで、合理的配慮は必要不可欠なものです。
ここでは、合理的配慮の具体的な内容を、障害者が利用する交通機関・医療機関・福祉機関・教育現場にスポットを当ててご紹介します。

なお、いまからご紹介する交通機関・医療機関・教育現場での合理的配慮はほんの一部です。
各自治体により異なりますが、現代では、合理的配慮への取り組みを強化していく動きが見られるようになりました。
自身の障害に悩んでいる人は、市区町村でどんな合理的配慮が受けられるか確認してみましょう。

交通機関

通院や通勤時、交通機関を使用する際にも合理的配慮は必要です。
以下では、交通機関の種類によって行われている合理的配慮についてご紹介します。

・鉄道
券売機の利用が困難な場合、音声案内などで操作を援助したり、駅員が補助してくれたりします。
これらは、文字やボタンの配置の把握が難しい視覚障害者や、ADHDやASDのような順番を待つことが困難な精神疾患を持つ方に有効な手段でしょう。
また、車いす利用者には、乗り降り際のサポートや改札までの順路確保も駅員が行います。
さらに、駅内や電車内には車いすの方専用の手すりがついたスペースも存在します。

・バス
車いすの方は乗り降りの際に、スロープを利用して乗車できます。
乗車したら通常の席を折り畳み、車いす用のスペースを作ることが可能です。
また、車いすの方を案内する前後には車内に「ただいま車いすの方をご案内中です。ご協力お願いします。」とアナウンスが流れ、ほかの乗客に知らせることもあります。
なお、視覚障害者には音声案内で停留所名を知らせたり、聴覚障害者には停留所名称を案内板にわかりやすく表示したりと、さまざまな配慮が行われています。

・タクシー
車いすの乗り降りの際に、運転手が荷物をトランクへ収納してくれる、聴覚障害者には筆談で対応するなどがあります。
企業によっては、乗車拒否をしないことを徹底して、マニュアルを作成しているところもあります。

・飛行機
空港で働く際に、障害の状況や車いす等の使い方の講習を行う企業もあります。
そのため、福祉機器の取り扱いには適切な対応が可能です。
また、障害者の申し出があれば、安全装置などの説明も個別に行います。

医療・福祉機関

定期的なリハビリや診察などで、障害者が最も利用する施設が「医療および福祉機関」ではないでしょうか。ここでは、医療や福祉の現場で行われている合理的配慮についてご紹介します。

・受付
音声案内だけでなく、院内放送を電光掲示板の使用などで文字化している施設があります。
また、発達障害などで待ち時間が苦手な方には、別室で待ってもらう、連絡カードを添付するなど、スタッフ間で蜜な連絡を心がけた体制を行っています。
もちろん、院内にはスロープやキャスター上げの補助も行っている施設も多いです。

・診察、相談
伝えることや、理解することが難しい方には、絵や図を使用します。説明が正確に伝わるように「はっきり」「ていねいに」「ゆっくり」「繰り返し」説明することも心がけています。
また、診察中に不安になってしまう方には、医師や看護師が付添うこともあります。

教育現場

児童にとって学校は毎日通う場所であり、生活の基盤です。
純真無垢な子どもは、時に障害者に対して素直な感想を口にして、障害者の児童を傷つけてしまうこともあるでしょう。多感な幼少期の心の傷は、癒えるまでに時間がかかります。
そのため、教育の現場でも合理的配慮の支援の体制を作ることが大切です。ここでは、教育の現場での主な合理的配慮を挙げます。

・環境の整備
聴覚過敏の生徒は、少しの雑音や、話し声が気になってしまい、注意力が散漫になります。
そのため、机や椅子に緩衝材をつけて雑音を軽減するなど環境作りに対応しています。
また、視覚情報の処理が苦手な児童生徒には、教室内の掲示物の情報量を減らすなどで、一つのことに集中する時間を長くできるでしょう。

・教育
教育と言えば生徒や教師へのコミュニケーションも重要な要素です。
絵や写真カード、タブレット端末などの使用を許可しているところもあります。障害の特性に合わせた教育を行っているのです。
また、障害があることで学ぶことができない教科がある際には、それに応じた対応を行います。

・カウンセリング
心のケアも必要です。学校生活で困っていること、悩んでいることを聞き、それを解決するような対応・対処を考えます。このカウンセリングを行うためには、教師と生徒の信頼関係も大切です。

以上のように、教育面ではさまざまな配慮が求められます。
ただし、一番重要なのは「障害についての理解をする教育をすること」でしょう。
障害がある生徒が自身の障害について理解する、また、障害を持っていない生徒が障害について把握し、対応を考える、このような考え方が身につくことで、環境にも変化が起こり得ます。

就労面

就労に関わる合理的配慮は、「障害者雇用促進法」によって定められています。
障害者雇用により、障害者を採用・応募する際、当該障害者の申出により合理的配慮が必要です。
また、採用されたあとについても、企業や担当者が障害に対する理解・合理的配慮の必要性について把握することが大切です。
ここでは、就労面に関する合理的配慮の種類についてご紹介します。

採用

募集内容や採用試験を、音声案内や点字で表示する、面接時の筆談対応を可能にするなど、それぞれの障害特性に応じた対応があります。
また、就労支援機関の職員と同席することを許可している企業もあります。
なお、採用時は、自身の障害について「今後働いていくうえでどんな配慮が必要か」「どのようなことが得意で、何が苦手なのか」などの情報を聞き出す時間でもあります。
障害者が働きやすいように、具体的な内容をしっかり把握することが大切でしょう。

採用後

採用後に行われる合理的配慮は、施設の案内板や掲示板を設置する、スロープなどを設置し通路に障害物を置かないようにするなど、環境を整えるものです。
また、車いすの方が作業しやすいよう作業スペースの高さを調節するなどの工夫がされています。
さらに、感覚過敏を緩和するためのサングラスの着用や耳栓の使用、体温調整しやすい服装の着用を認めるなどの配慮の実施をしているところもあります。

次に、業務の指示に関する配慮です。
相談を受ける担当者を事前に決め、コミュニケーションを取りやすくしておく、通院や体調不良の際の欠席も考慮した時間配分にする、ほかの従業員に必要な知識・配慮を周知するなど検討します。

 

合理的配慮への理解が深い職場とは

前述したように、合理的配慮への取り組みは多岐にわたります。
ただし、一般企業で身体障害者の方への合理的配慮の認知が進んできている中で、目に見えない障害である精神障害者への合理的配慮は理解が難しい部分があります。
障害者が安定した就労を目指す場合、一般の企業ではなく作業所を探すという選択肢があります。

2013年4月に施工された「障害者総合支援法」では、以前施行された「障害者自立支援法」の内容を精査し、障害や難病の方がその人らしく働けるよう、さまざまな福祉サービスを利用できるようになりました。

具体的なサービスとして、障害を持っている方を対象とした「福祉的就労」が挙げられます。
主な福祉的就労には「就労継続支援事業」という就労支援のサービスがあります。
これは「労働継続支援A型事業」と「労働継続支援B型事業」の2つに分類し、一般的には労働継続支援A型事業を「A型作業所」、労働継続支援B型作業所を「B型作業所」と呼びます。

A型作業所とB型作業所について

ここでは、A型作業所とB型作業所について詳しくご紹介します。

A型作業所

障害や難病のある方を対象に雇用契約を結んだうえで、一定の支援がある職場で労働できる福祉的就労です。
18歳以上65歳未満で身体障害・知的障害・精神障害・発達障害や難病を持つ方で、「就労経験があるけど現在は働いてないこと」と「就労移行サービスなどで就職活動をしたが雇用に結びつかなかったこと」を対象としています。
仕事内容の一例としてカフェやレストランのホールスタッフやパソコンによるデータ入力、ストラップのパッキングなどさまざまあります。

A型作業所での勤務は、一般就労とあまり変わりません。
異なるのは、拘束時間が短いこと、工賃が低いことです。勤務形態は各作業所により異なりますが、一日の実働時間は平均して4時間~8時間程度です。
また、基本的に利用期間の制限もありません。
ただし、利用者と事業者で結ばれた雇用契約に起源がある場合は更新の有無で利用期間も変わるのが一般的です。

B型作業所

年齢制限は設けておらず、利用者と事業所の間に雇用契約を結ばないため、非雇用型とも呼ばれます。一般的にA型作業所での就労が難しく、社会復帰の目的で訓練を行うために利用される方が多い傾向です。

B型作業所で経験を積み、就労継続支援A型・就労移行支援・一般企業への就職を目指すサポートを行います。
そのため、B型作業所は、A型に比べて就労に対する制限が易しくなっている所が多いです。工賃が低いなどデメリットはありますが、A型作業所に比べて自分のペースで行うことができます。

作業所で行われる合理的配慮について

では、A型およびB型作業所で行われる合理的配慮はどんなものがあるのでしょうか。

一番は、自分の障害や病気について理解しているスタッフがいることです。
体調が悪い場合や、作業の内容が理解できない場合など、障害特性で困難が生じた際には丁寧に指導を受けることができます。
また、自分の体調に合わせた出勤時間を設定したり、障害特性に対応した作業を選んだりすることも可能です。

 

合理的配慮の対象者

前述したように、合理的配慮の対象者は、社会生活に困難が伴う身体・知的・発達を含む精神障害と難病を持つ人と定義されています。ここでは、それら障害について詳しくご紹介します。

身体障害者

「身体障害者福祉法」によると「身体上の障害がある18歳以上の人で、身体障害者手帳の交付を受けた人」と定義されています。
一般的には、四肢に不自由がある場合や、視覚や聴覚に制限がある人など身体機能に何らかの障害を持っている人が身体障害者という認識です。

また、身体障害には身体障害者障害程度等級という等級があります。
身体障害者障害程度等級は、障害者の持っている障害の度合いによって1~3級に分類されるため、障害者が持っている障害が重度なのか軽度なのかの判断ができます。
最も重い障害が1級、比較的軽度な障害は3級です。1級に近い方が福祉機関の援助も手厚くなります。

精神障害者

外見では判断が難しいため、健常者と区別がしづらい障害です。
しかし、継続的な合理的配慮は身体障害者と同じように必要です。「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(精神保健福祉法)では、「統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質、その他の精神疾患を有するもの」と定義されています。
一方、「障害者基本法」では、「精神障害があるため、日常・社会生活において継続的に制限を受ける人」と定義されており、その定義は幻覚には定まっていません。
精神障害は、心因性、内因性、外因性など原因によって分類が異なります。
精神疾患が起こると、日常生活に支障が起こります。この「生きづらさ」が起こることを精神障害と捉えているのです。
具体的な例として、幻聴や妄想、意欲低下などが挙げられます。
これらの症状は、人によって合併して表れたり、一つが特別強く表れたりします。
そのため、一人ひとりに合った支援が必要です。

発達・知的障害者

原則的に18歳までの発達期に生じる知的発達に遅れが生じて、社会生活に適応する能力に制限がある状態を言います。
知的能力の発達の具合・適応能力の状態の両方を鑑みて、双方が一定の基準よりも低い場合、知的障害者と専門の医師によって判断されます。
知能の発達の程度を示す数値である「知能指数(IQ)」が70以下だと知的障害に該当すると言われていますが、知的能力が低いだけでは断定はできません。
知的能力・判断能力が発達期に遅れるという条件が重なったとき、初めて知的障害者と判断されるのです。
あくまで条件が重なったときにはじめて、発達・知的障害である可能性があるということを留意しておく必要があるでしょう。

 

合理的配慮を提供する流れ

合理的配慮の内容は障害の特性や程度によって異なります。
障害者が納得のいく合理的配慮を行うには、周囲の協力や企業側のバックアップが必要不可欠です。
ここからは、双方が納得できる合理的配慮を実現するための手順をご説明します。

本人からの申し出

合理的配慮を行うには、障害者本人が自らの意思で周囲の人や企業に協力を仰いでもらわなければなりません。
そのためには、障害者自身が障害を持っていることを伝えてもらいましょう。
しかし、障害者が、障害に必要な合理的配慮を具体的に説明できない場合や、プライバシーを守りたい気持ちから正直に伝えられない場合もあるかもしれません。
そのため、企業側は採用面接時などの時に合理的配慮について本人の希望を聞く時間を設けたり、本人が申し出をしやすい環境を作ったりする配慮が重要です。
障害を持つ当事者が合理的配慮の必要性を伝えなければ、企業側は配慮を行えません。
したがって、障害者に対して傾聴姿勢を持つことが企業側には必要になってきます。

当事者・雇用主の話し合い

合理的配慮が必要な旨を事業所側に伝えたら、次は本人が希望する合理的配慮について、当事者と企業側双方で話し合いを行いましょう。
具体的にどのような配慮が必要なのか、希望する合理的配慮は実現可能かどうかを双方でよく話し合います。
長期間に渡り合理的配慮の提供を継続するためには、企業側に過度な負担にならないことが条件です。合意の段階で、負担が大きいものについては代替策を検討しましょう。

また、職場において合理的配慮を適切に実施するためには、ほかの従業員に理解を求める必要があります。プライバシー保護の観点からも、障害の内容をどこまで伝えて良いのか、意思のすり合わせが必要です。

なお、障害者が希望した配慮が提供可能になったら、企業側から説明をしなければなりません。
配慮内容が企業の過度な負担になり行えない場合は、その理由もしっかり説明しましょう。

配慮の実施

障害者と企業側で話し合いを重ねても、実際に実施の段階でうまくいかないケースが出てくることがあります。
合理的配慮をきちんと受けられない環境で働くことは、障害者本人にとって非常にストレスです。
話し合いの段階で取り決めたことを実施できるように事業所側は善処する必要があります。

合理的配慮が行き届いてない例として、直属の上司が変わった時に、障害に対する理解の引継ぎがうまくできておらず、合理的配慮が十分にされない場合などがあります。
引継ぎがきちんとされていないと、上司が変わる度に自身の障害について説明をしなければなりません。
このようなことが起きないためにも、合理的配慮に関するアウトラインを作成し、合理的配慮に対する理解の輪を現場で広げることが大切です

また、障害者側から具体的に改善してほしい部分が明確になる場合があります。これは障害者本人しか分かり得ないことなので、提案されたら取り入れる意識を持ちましょう。

なお、サポートできる担当者がいたり、同じ部署の人が率先してフォローしたりする環境整備があると障害者は心強いでしょう。どのような配慮をすることで助かるか、情報を共有することが重要です。

配慮の見直し

合理的配慮は実施して終わりではありません。
障害者の継続的サポートのため、合理的配慮の必要があることを周囲に理解してもらい、定着させることが最も重要です。
そのためには実施したプロセスを改めて見直して、改善点などを挙げて考察することが大切になります。

具体的には、合理的配慮を実施して感じた違和感・改善点などを挙げてもらい、企業で改善していくと良いでしょう。
とはいえ、双方の合意のもとに合理的配慮は実施されているため、障害者が希望する改善点をすべて承認できるとは限りません。
配慮ができない範囲がある場合は、企業側から説明が必要です。
企業が配慮を行えない理由には、マンパワー不足・事業所のスペース不足・金銭的な理由などさまざまな理由があります。
障害を持った方と事業所の双方が納得のいく配慮の見直しをすることは欠かせないので、定期的に話し合いの場を設けると良いでしょう。

 

障害者と接する際に心掛けたい3つのこと

ここでは、実際に障害者の人と接する際に気を付けておきたいポイントをご紹介します。
特に精神障害者は、一見すると健常者と見分けが付かないこともあります。
接し方に注意を払わないと、不穏になったり、パニックになったりする場合もあり得るので、そうした事態を避けるためにもポイントを抑えておきましょう。

傾聴姿勢を意識する

精神障害には、幻聴・幻覚の症状が出る場合があります。
これら症状が発症している障害者は、本当に見えている・聞こえているものだと思っています。
そのため、障害の症状が露見してきた際には、周囲の人は決して否定をせずに、傾聴する姿勢を持ちましょう。
話を聞いてもらえるだけで、障害を持った方は心が落ち着く場合があります。
一方で。否定してしまうと不穏な症状に拍車をかける恐れがあります。
「信じてもらえない」と感じた障害者との間に、信頼関係などが壊れてしまうかもしれません。

変化に気付く心構えを持つ

障害者の心境・体調面の変化に気付けるアンテナを張っておくことが大切です。
特に精神障害者は、些細なきっかけで体調面に変調をきたす場合があります。
それは季節の変わり目による天候の変化であったり、なにげない会話の中での一言が気になったりとさまざまです。そのため精神障害者と接する場合は、小さな「変化」に気付くことが重要です。

特に疾患の症状が露見してきている場合には、当人が症状を発症していることに気が付いていないことが多く、自覚できないケースがあります。
だからこそ早期に周囲が本人の変化に気が付き、献身的なサポートをすることが当事者にとっての助けとなります。

不穏時の対応を徹底する

障害の症状が目立つようになると、不穏な心理状態になる場合もあるでしょう。
不穏な様子が見られた時の対応方法を速やかに実施できるように、障害について理解しておくことが重要です。
不穏時の具体的な対応方法は、主治医に処方されている頓服薬を服用してもらうことを促すなどが挙げられます。そのほかにも障害者本人がリラックスできる環境を作ってあげることも有効です。

もし緊急を要する場合は、かかりつけの精神科に連絡をして診察を依頼するといった対応をするなど、対応方法を事前に決めておき徹底することが本人・周囲の人にとって最善の策でしょう。

 

合理的配慮の課題

このように障害者が生活を送るうえで、合理的配慮は欠かすことができません。
しかし、合理的配慮にはまだまだ課題が山積しています。
なぜ合理的配慮を実施することが難しいのか、具体的にどのような障壁があるのかをご紹介します。

人によって必要な配慮が違う

合理的配慮を実施することが難しい理由は、障害を持った方によって必要な配慮が異なるからです。障害は身体の障害や精神の障害など多くの種類があります。
一人一人必要とする合理的配慮が違うため、合理的配慮が適切に行えないケースもあります。
みんな平等の配慮ではなく、障害者それぞれにどのような配慮をする必要であるのか、きちんと理解することが大切です。

障害者への偏見が根強い

障害を持つ人が一定数いる中で、まだまだ障害を持った方への偏見の目は根強くあります。
自ら望んで障害を持っているわけではないのに、障害を持っているだけで差別することは倫理観に反します。
とはいえ、すぐに社会全体が持つ偏見の目を根絶することは難しいのが現状です。
ただ、障害を持った方に対する理解を深めて、一人一人が意識を変えていくことで、時間をかけて偏見をなくす努力はできます。
現在の社会情勢では、障害を受容しようとする動きが見られています。
そのため、今後は障害者が生活しやすい制度や合理的配慮への理解も深まっていくことでしょう。

支援制度が充実していない

障害者を支援する制度はいくつかあるとはいえ、先進諸国と比べると日本はまだまだ遅れていると言わざるを得ません。障害者を支援する制度の充実には時間がかかるのが現状です。
しかし、国の制度が充実していなくても周囲の人が意識を変えるだけで、障害を持った方を支援する働きかけができます。一人一人の意識が変わることこそが、支援制度を充実させるエネルギーになるのです。

 

まとめ

この記事では、障害者に対する合理的配慮についてご紹介しました。
合理的配慮は必要不可欠なものであり、健常者も障害者も分け隔てなく生活を送るための支援です。それぞれの障害によって、対応するべき合理的配慮も違います。
大切なのは、障害に寄り添い、当事者に合った合理的配慮の実施です。
障害への偏見が少しでもなくなる世の中になることが、現代を生きる私たちの課題でしょう。