なぜ発達障害者は遅刻が多いのか?原因と対策について解説!

発達障害を持つ方は、定型発達の方よりも遅刻が多い傾向にあります。
注意されても治りにくいため、周囲も本人も悩んでいるというケースも多いのではないでしょうか。

何度も遅刻を重ねてしまうと、職場や学校での印象が悪くなるだけでなく、周囲の目も気になってしまいます。
今回は、遅刻癖を治したいのに治らないという方向けに、遅刻してしまう理由と対策についてご紹介します。

発達障害とは

発達障害は、生まれつき脳の発達に偏りが出てしまう障害です。
本人の得意なことと苦手なことのバランスが、周囲の人間関係や環境によってミスマッチを起こし、偏ってしまいます。

発達障害により、社会生活にうまくなじめないという困難が生まれる可能性もあります。
障害の有無は外見からは判断しづらいため、ただ怠けている方だと思われてしまう場合もあるかもしれません。

しかし、特性に合った環境で経験を重ねることによって少しずつ改善されるケースもあります。
まずは自分自身の得意不得意と、特性を知ることが苦手克服への第一歩になるでしょう。

発達障害の種類と特性

発達障害が脳の発達が偏ることで発症する障害であることは先述した通りですが、発達障害の中にも分類がいくつかあります。
ここでは、発達障害の中でも特に遅刻と関連があると考えられる「ADHD」の主な特性について解説します。

ADHDとは

ADHDは「注意欠如」や「多動性障害」とも呼ばれ、集中力がなかったりじっとしていられなかったり、思いつくとすぐ行動してしまったりといった症状が見られる障害です。
人によってADHDの症状の表れ方にも違いがあり、不注意が優勢であったり、多動性が優勢であったり、または両方が混在してみられる場合もあります。

発達障害者に遅刻が多い理由

なぜ発達障害者に遅刻が多いのか、理由を把握できれば自ずと対策も立てやすくなります。
ここでは、発達障害の症状と遅刻と関連する理由について考えてみましょう。

時間の管理が苦手

ADHDの原因の一つに、ノルアドレナリンという神経伝達物質の少なさが挙げられています。
ノルアドレナリンは集中力を保つ役割を担っていて、それが少ないADHDの方は約束の時間になっても危機感や焦りを感じにくい特性があります。

約束の時間を過ぎたときになってようやく焦りだすという方も多いのではないでしょうか。
ただ、本人が怠けているわけでなく、脳の気質的に約束や時間を管理して守るというのが苦手な傾向にあるため、マイナスな印象を与えてしまいます。

物事の優先順位をつけるのが苦手

発達障害の方は、物事の優先順位を付けるのも苦手な傾向にあります。
ADHDの方は短期記憶をつかさどるワーキングメモリーと呼ばれる脳の部位の活動があまり活発ではありません。

人は頭の中で優先順位をたてるとき、無意識に複数のタスクを比較しながら、今もっとも優先的に取り組まなければならないことを優先的に実行するようにしています。
ワーキングメモリーの働きが弱いことで、同時に複数のタスクを頭の中で実行するのが困難になり、結果、今取り組むべき優先順位をつけられないまま時間を過ごしてしまうということが起こりがちです。

興味関心が移りやすい

やらなければならないことがあると分かっていても、他の出来事に夢中になってしまって肝心な用事がおろそかになりがちなのも、ADHDの方にはよく見られる傾向です。
ADHDの特性である多動性によって1つのことに集中するのが困難なため、新しい出来事に興味が移りやすくなってしまいます。

よくある遅刻のパターン

ビジネスの場面における遅刻のパターンとして、代表的なパターンというものがいくつか挙げられます。

例えば、面接の場所が分からなくて到着が遅れてしまったり、電車の乗り換え時間や駅からの距離を考慮しきれずに遅刻してしまったりといったものがあります。
また、起床時間に起きられず、予定している時間の到着に間に合わず遅刻してしまうのも、よくあるパターンの代表例といえるでしょう。

遅刻した際の対処法

先述したような理由で遅刻してしまう場合はどのように対処すればいいのでしょうか。
ここでは、遅刻のパターンごとに対処法の一例をご紹介します。

ぜひ目を通して参考になりそうなものがあれば実行してみましょう。

場所の勘違いの場合

場所が分からない、もしくは行き先にたどり着けるか不安がある場合、自分で確認したうえで第三者にもう一度チェックをしてもらいましょう。

自分では見落としていた点に気づくきっかけになりうるかもしれません。
特に、面接などの大事な場面ではより入念にチェックするのをおすすめします。

時間の管理ができない場合

目的地までの移動時間等がイメージできず、予定時間に到着できるか不安な場合、前日までに一度現地に足を運んでみるとよいでしょう。

想定していた時間と実際の移動時間に大幅なズレがあった場合、どこで見立てを誤って予想に狂いが生じていたのかを考えるが重要になります。
今後の生活でも、移動時間を自分で見積もるときの参考にできるため、時間管理について不安があるうちは日頃から意識しておくと良いでしょう。

朝に起きても間に合わない場合

この時間に起きれば大丈夫だろうと思っていた時間に目覚めたにもかかわらず、遅刻してしまうことがある場合、自分がどれだけ朝の支度に時間がかかるのかをきちんと把握できていない可能性があります。

スムーズに支度できれば間に合う時間でも、忘れ物やつい他のことに気をとられてしまうと、思わぬ時間のロスが生じてしまいます。
朝が苦手で起床後すぐに活動するのが困難な場合、予定の時刻に間に合うギリギリに起床するのではなく、ゆとりをもって準備しても間に合う時間に起床するようにしましょう。

遅刻しないための対策

よくありがちな遅刻のパターンとその対策の一例を紹介しましたが、発達障害者の困りごとや遅刻のパターンは人それぞれに異なります。
遅刻に関する悩みはあっても、上記で紹介した方法には当てはまらない場合もあるでしょう。

ここでは、ポイントを交えながら遅刻を予防するための対策をいくつかご紹介します。

ルールを決める

自分の苦手と特性が分かったら、その上でどのようにすれば問題を解決できるか考え、ルールや規則を作りましょう。
この際、実行するのが難しいような明らかに無理があるルールを設定するのではなく、少し頑張れば達成できそうだなと感じるようなところから少しずつ目標を達成していくことをおすすめします。

小さな成功を積み上げることによって徐々に自信もつき、以前はできなかったことができるようになるといった経験も増えていくでしょう。

周りに配慮してもらう

もし障害に対しての理解が得られそうな環境であれば、周囲の配慮を求めるというのもひとつの方法です。
自分自身で努力をしているにもかかわらず遅刻やミスをしてしまう場合、自分の障害の特性を理解してもらうことで、周りの方がその環境に適応しやすくなる場合もあるでしょう。

治療薬の服用も検討してみる

ADHDには2021年7月現在4つの治療薬が認可されており、診断を受ければ処方してもらうことが可能です。
治療薬を服用することで、ADHDの原因と考えられているノルアドレナリンやドーパミンなどの分泌量を正常に近づけられるでしょう。

効果が実感できる度合いは個人差がありますが、服用して劇的に症状が改善したというケースも少なくありません。
主治医と相談のうえ、治療薬の服用も検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

発達障害を抱えている方は、怠けているつもりがなくても遅刻を繰り返してしまう場合があります。
これは、ADHD症状と関連がある場合に多く見受けられます。

当人が困っているにもかかわらず発達障害が目に見えないものであることから、周囲の理解を得られにくいの難しいところです。
自分なりの対策をして頑張ることももちろん必要ですが、それでも改善が見込めない場合もあるかもしれません。

そういった場合は周囲の理解や治療薬の服用など、自分だけで悩まずに適切な対処を講じることも検討してみましょう。