心臓は外からは見えない部分であるため、理解されない場合が多いのも事実です。しこの記事では、主に障害を抱えている求職者を対象に、心機能障害の基本知識および、無理のない就労に役立てる情報を、詳細に解説いたします。参考になれば幸いです。

心機能障害とは?基本知識から就労の方法までを詳しく解説!

心臓の機能に関連する障害を抱えている方も多くいます。心臓は外からは見えない部分であるため、理解されない場合が多いのも事実です。しかし、正しい知識を持っていれば、本人にも周囲にもよりよい生き方が見えてくるかもしれません。この記事では、心機能障害の基本知識および、無理のない就労に役立てる情報を、詳細に解説いたします。

心機能障害とは

心機能障害は一般的に、「血液の循環機能が何らかの原因で低下することにより、心臓機能が低下する障害」と定義されます。少し前のデータになりますが、内閣府「平成25年版障害者白書」によると、国内の在宅で18歳以上の心機能障害者数はおよそ35万人で、これは身体障害者全体(在宅・18歳以上でおよそ348万人)のおよそ10%にのぼります。

心臓の役割と働き

心臓は、解剖学的には循環器に属します。心臓はほぼ筋肉(心筋)で構成され、この心筋は心臓全体にターバン状に巻き付けられた形になっています。

1日当たりおよそ10万回、弱い電流により収縮と拡張を繰り返すことで、身体全体から戻ってきた血液を両肺に送り、また両肺から戻ってきた血液を再び身体全体に送り出すポンプとして休まずに働くのが心臓の機能です。送り出す血流量は、一日当たりドラム缶でおよそ40杯分にのぼります。同時に、体内を廻り終わって古くなった血液を回収することも、心臓の重要な機能です。

また、心臓の構造としては、まず内部に右心室・右心房・左心室・左心房の4つの部屋があります。全身から戻ってきた静脈血が右心房に入り、右心室から肺動脈を経由して左右の肺で酸素を摂取し、肺静脈から左心房に入り、僧帽弁を通って左心室に流れ込み、この左心室が強く収縮することにより、新鮮な血液が大動脈から全身に送られるのです。

さらに、心臓自身に酸素と養分を供給する冠動脈や、心筋を収縮させる電気信号を伝達する自律神経も走っています。

心機能障害になる要因

後述するように、心機能障害にも様々な種別があり、判然としないものも含めて、先天性のものからウイルスが原因になるものまで、要因は多種多様です。
成人以降では動脈硬化などによる血流の滞留による場合が多いため、食事や運動などの健康習慣との関連性が指摘されています。

等級別の特徴

心臓機能に障害がある方や、心臓に除細動器やペースメーカーを埋め込まれた方は、心機能障害と認定され、身体障害者手帳の交付対象となります。

心機能障害の障害程度等級には、「1級」「3級」「4級」の3段階があります。
以下で各等級について概観しますが、他にも詳細な条件が設定されてるため、もし何か不明点があれば、お住まいの自治体の福祉保健窓口などにお問い合わせください。

なお、心機能障害「2級」は、制度上では設けられていません。

1級

1級は最も重い等級になり、「心臓の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの」と定義されます。
食事や入浴、トイレといった自分自身のすぐ身の回りの生活活動にまでも支障がある場合に、1級と認定されます。

3級

「心臓の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの」が3級の定義とされます。家庭内での「極めて温和な」日常生活活動はできるけれども、それ以外の、例えば階段の昇降や荷物を持つといった動作が困難である場合に、認定されるものです。

4級

「心臓の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの」と定義されるのが4級です。家庭内での日常生活活動や「極めて温和な」社会生活活動はできるけれども、それ以外では心機能の症状が起こる危険性により支障がある場合に、4級と認定されます。

代表的な疾患8つ

では、心機能障害のカテゴリーには、具体的にどのような疾患が含まれるのでしょうか?ここでは、主要な心疾患を8つご紹介します。

心筋梗塞

心筋梗塞は冠動脈が詰まることにより、それから先の血流が止まってしまう疾患です。
血流が止まることで、心筋への酸素や栄養の供給が止まり、心筋が壊死してしまいます。

心筋は一度壊死してしまうと再生できず、急性心筋梗塞の場合は急性心不全(後述)を引き起こしてしまい、命に関わるリスクがあります。
主に動脈硬化が原因とされています。

狭心症

全身に血液を送るポンプである心臓自体は、心臓の表面を通る冠動脈によって酸素と栄養の供給を受けていますが、冠動脈の血流が滞留し、心臓へ供給される栄養不足が原因で狭心症を発症するとされています。

狭心症の症状は、胸部の痛みと圧迫感です。
重いものを持ったり坂を登ったりして起こる場合もあれば、安静時に冠動脈が痙攣(けいれん)して起こる場合もあります。

動脈硬化の症状が見える方に発症が多いことから、予防や再発防止のためには、生活習慣・運動・食事・嗜好(しこう)品などの健康的な改善が肝心になるでしょう。

心不全

何らかの原因で心臓のポンプとしての活動が不十分なことにより引き起こされる、身体の症候群です。
心不全には急性と慢性がありますが、特に急性の場合は、命に関わるリスクが心疾患の中で一番高いとされます。

不整脈

心臓の拍動を司る電気信号が不規則に乱れる疾患です。
この信号の伝達がさまざまな原因により正常でなくなり、心拍の速度やリズムが乱れてしまい、心臓の機能であるポンプ性能が妨げられます。

心筋症

何かしらの原因で心臓の筋肉に異常が発生し、ポンプとしての機能が妨げられてしまう疾患です。
一般に心筋症は、はっきりした原因が分からない場合が多いようですが、生活習慣病である動脈硬化との関連も指摘されているため、心臓に負担をかける過度の水分・塩分摂取を避けるなど、良好な食生活が大事になるでしょう。

動悸(どうき)・息切れ・疲労倦怠(けんたい)感などが主な症状ですが、他にも多くの兆候が表れることがあり、自覚症状のないケースもあるため、油断はできません。

弁膜症

心臓内で血流が逆流しないように制御する弁が損傷してしまう疾患です。
心臓には4つの弁がありますが、これが開きにくくなったり、閉じにくくなってしまいます。

弁が開きにくいことで血流が滞りますし、弁の閉じにくさによって毛血流が逆流する可能性もあるでしょう。
そして、心室と心房に過重な負荷がかかってしまい、心不全につながるリスクが高ります。

弁膜症の主原因としては、先天性ものや動脈硬化、リウマチ熱などが挙げられています。

心筋炎

心臓の筋肉に炎症が起きる症状を指します。
心筋組織が何かしらの原因で炎症を発してしまうと、心臓のポンプ機能が低下する心不全を起こしたり、拍動リズムが異常に乱れる不整脈を起こしたりする危険性があります。

心筋の細胞は、一度壊れてしまうと再生できないため、心筋炎が他の心機能障害につながる怖さもあるでしょう。
心筋炎の原因となるウイルスは、風邪や胃腸炎の原因となるウイルスと同じ場合が多く、また、年齢などに関わらずすべての人が罹患(りかん)する可能性があると明らかにされています。

先天性心疾患

生まれつきに見られる心疾患の総称です。
左心と右心を隔てる膜に穴が開いていたり、血流を制御する弁がうまく働かなかったり、心臓の部屋が4つより少なかったりします。

遺伝や母体の健康が原因になるケースもありますが、詳細に特定できない場合も多いようです。
未成年または若い世代の心機能障害者の方では、この先天性心疾患の割合が多くなっています。

心機能障害の治療方法

心機能障害の代表的な疾患を見てみましたが、このような心機能障害の方が受けられる治療方法には、どのようなものがあるのでしょうか?
8通りの方法を見てみましょう。

薬物治療

狭心症・心筋梗塞・不整脈・心不全などの場合に、症状の悪化や再発を防ぐため、カテーテル(細管)治療などと併用して、薬物治療を行う場合があります。

心機能障害に用いられるお薬が目的とする効果には、動悸などの苦しい症状を緩和するものと、心臓を保護するものがあります。
一般に、薬物の服用は毎日・長期間になり、もし自覚症状が収まってきても継続して服用が必要となる薬が多いため、飲み忘れがないように本人も周囲も、十分に注意してください。

運動療法

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の方は、通常の薬物療法に加えて、適切に運動療法を取り入れることによって、再発や再入院のリスクを減らせるでしょう。

有酸素運動は血流を改善させ、体力改善効果も期待できます。
また、有酸素運動と併用して筋力トレーニングを行えば、動作時に心臓にかかる負荷を軽くできるでしょう。

ただし、心機能障害者の方の運動療法は量や方法を適切にしないと危険を伴うため、事前に必ず主治医の了解を得て、運動処方箋を発行してもらいましょう。
また、食後1時間内だったり、発症直後や病状が不安定だったりする場合は、運動療法は禁忌事項です。

主治医および心臓リハビリテーション指導士の資格を有する理学療法士や健康運動指導士と相談のうえで、十分注意して実施しましょう。

ペースメーカー

洞結節(どうけっせつ:人体自身に備わったペースメーカ)の異常により起こる不整脈のうち、徐脈(じょみゃく:脈がゆっくりしている)の方には、遅くなった自身の脈を補って調律するために、電気信号を用いた心臓ペースメーカーを植え込むことがあります。

植え込み手術は、年齢や症状に応じて、局所麻酔のみで静脈経由でリードを心臓に到達させる方式と、胸部切開をして心臓表面に電極を固定し、本体は腹部に植え込む方式の、2種類があります。

現在、植え込み型のペースメーカは性能が上昇し、小型・軽量で電池も長持ちするようになりました。
ペースメーカを植え込み後も、それまで通りの生活ができる方がほとんどです。

ただし、退院後も定期的にペースメーカーが正常に動作しているかを調べる検査が必要で、また、電池の寿命が来たら交換しなければなりません。
さらに、電場や磁場を生じる機器への接近には非常に注意する必要もあります。

補助人工心臓

人工心臓は、主に重症心不全の方への治療手段として、心臓のポンプ機能を機械によって代替させるものです。
補助人工心臓は、半永久的に人工心臓に依存して血液を循環させ続けるタイプと、心臓移植のドナー(提供者)が見つかるまで使用するタイプがあります。

現在では技術が長足の進歩を遂げ、高性能の半永久タイプが実用化されるようになりました。

人工心臓弁

心臓内で血液の逆流を防ぐためにあり4つの弁ですが、弁膜症で機能が果たせない場合は、人工的に心臓弁を取りつける場合があります。
この人工心臓弁には、ヒトや動物に由来する生体弁と、炭素繊維やチタンで作られた機械弁があります。

両者にはそれぞれメリットとデメリットがありますが、機械弁の場合は耐久性に優れる一方で、血液凝固を防ぐワーファリンという薬を生涯にわたって服用する必要があります。
一方、生体弁はおよそ15年ほどで交換する必要があります。

一般的な傾向としては、若い方は将来の再手術を避けるために機械弁を選び、高齢の方はワーファリン服用の煩わしさや出血のリスクのため生体弁を選ぶことが多いようです。

ICD

ICD(Implantable Cardioverter Defibrillator 植え込み型除細動器)は、致命的な不整脈が起こる恐れがある場合に、感知して防止するために体内に植えこまれる小型の医療機械です。
心臓の動きを常に監視し続けて、致命的な不整脈を感知すると、電気ショックによって心拍を正常に戻す働きをします。

カテーテルアブレーション

薬物療法が何らかの理由で難しいケースで、心房細動および心房粗動の根本的治癒を目指す新しい治療法です。

カテーテルとは人体挿入用の細い管のことで、この先端を不整脈の方の心臓に入れて高周波を流し、異常な電気信号の回路や発生源を焼き切ってしまいます。
さらに、より短時間で簡単に治療できる「バルーンアブレーション」という最新技術も出てきています。

心臓移植

脳死で亡くなられた方の善意により、心臓の提供を受けて埋め込むことで、心機能の回復と健康寿命を伸ばそうとする医療手段です。
重度の心筋症など、心臓移植のほかに手段がない心機能障害に適用されます。

近年では、薬物療法などの内科的療法が非常に発達したため、心筋症だからといってすぐに心臓移植が必要になるわけではありません。
しかし、薬物は病気を根治することはできず、そのうちに効かなくなる方や、逆に症状が強くなる方も多いため、この場合は心臓移植が必要になります。

未来には、iPS細胞などを用いた再生医療が、心臓移植の代わりになると期待されています。

心機能障害でも働ける仕事とは

これらのような心機能障害を抱えている方でも、社会の中で働くのは不可能ではありません。
配慮を受けながらのお仕事はもちろん可能であり、実際に多くの方が働いています。

障害の特性上、お仕事の得意不得意や一般的な傾向があるため、一緒に見てみましょう。

多く見られる業種

心機能障害を抱えている方は、残業はできるだけ少なくて、通院への理解がある職場を選べるとよいでしょう。

心機能障害の方は、障害者雇用で多くみられる軽作業よりも、事務[補助]・Webデザイナー・Webライターなどの、デスクワークやテレワークでできる業種に、多く就労されているようです。
また、専門的な学歴や資格が必要になってくる場合もありますが、医療・福祉の業種では正しい知識に基づいた適切な配慮を受けながら、長く働きやすいかもしれません。

仕事上のハンディキャップ

心機能障害の方は特に、心臓に負担をかけてしまうような作業は厳禁です。

たとえば、重い荷物を扱ったり、不規則勤務・長時間残業・深夜勤務などがあったり、高温・低温・寒暖差がある環境だったりするお仕事は避けましょう。
さらに、精神的なストレスも心臓に負荷をかけてしまうため、あらかじめよく調べて、可能ならストレスのかかりにくい職場を選べるとよいかもしれません。

心機能障害の人でも働きやすい職場選びのポイント

心機能障害の方は、どうやって働きやすい職場を選べばよいのでしょうか?
重要なポイントを3つ、考えてみましょう。

通院に関する配慮がある

心機能障害は、定期的な検査および服薬のための通院が必要不可欠です。

通院日はどうしても、お仕事を休まざるをえません。
仕事が忙しくて通院が困難になり、障害が悪化してしまうのでは大変でしょう。

また、心臓にペースメーカーを埋め込んでいる方は、定期的な入れ替え手術が必要なため、そのときは必ず休まなければなりません。
たとえ繁忙期でも、通院を最優先にしてスケジュール調整に応じてくれる職場であるか、よく見て選んでいきましょう。

体調に関する配慮がある

心機能障害の方は、体調が優れないときがあったり、重い倦怠感や疲労感を感じる場面も多いでしょう。
これらの症状は、目には見えないため、理解してもらうのが少し難しいかもしれません。

配慮が不十分なままで無理して勤務を続けざるをえなくなってしまったら、ストレスもたまってしまい、心機能障害の再発や症状悪化を招くリスクもあるでしょう。
勤務時間中だとしても、体調が傾き始めたらすぐに相談できる雰囲気であるのが、とても重要です。

障害や症状のことを配慮してくれて、適度な休憩を取りながらお仕事を続けさせてくれる職場を見つけられるとよいですね。

業務内容に関する配慮がある

心機能障害を抱えている方の中には、速く動いたり、重いものを運んだり、大きな音に驚いたり、精神的ストレスを受けたりすると、心臓に負荷がかかる方も多いでしょう。

これらは、他の人にはなかなか気付かれにくいことです。
上司や仕事仲間に、自身の障害や禁忌事項について無理なことはきちんと伝えて、十分に相談するのがよいでしょう。

企業で働いている場合ならば、自分ができないお仕事を他の同僚などに委ねなければならない場面も出てくるかもしれません。
そのお仕事を長く安定して続けていくためにも、普段からコミュニケーションを取っておき、良好な人間関係を構築していくことがカギとなるでしょう。

これらのような業務内容に関する配慮があれば、障害をのある方でも働きやすい職場だと言えます。

心機能障害の方の採用枠はどうなるか

上述したような環境の職場が障害者の方でも働きやすいと分かりましたが、採用段階での枠はどうなっているのでしょうか?
一般に、障害者が就労する際に通る門戸は、大きく2つに分けられます。

一般枠

障害があることを職場に開示しないで働く、いわゆる「クローズ」です。
職場で障害への理解や配慮を受けるのが難しくなりますが、仕事の選択肢やキャリアの可能性は広がるでしょう。

障害者枠

障害があることを職場に開示したうえで働く、いわゆる「オープン」です。
職場の理解を受けられ働きやすくなりますが、仕事は補助的な業務や軽作業が多くなるかもしれません。

心機能障害の方が利用できる就職・就労支援

それでは、心機能障害の方は、就職および就労においてどのようなサポートを受けられるのでしょうか?
この章では、代表的な4つの方法をご紹介します。

ハローワーク

厚生労働省が管理・運営する「ハローワーク(公共職業安定所)」は、人材を探している企業と、仕事を探している求職者を仲介することを業務としていますが、セーフティネットとしての使命もあり、障害者専門の窓口を設置しています。

ハローワークでは、障害者の方のために専門の職員および相談員を配置しており、求職申し込みから就職後のケアまでを、トータルにサポートしています。
求人情報をどうやって調べるかというところから、履歴書をどう書くか、面接はどうするかなど、就業に関する様々な相談に応じてくれるでしょう。
さらに、就職後に必要となる配慮について企業に説明してくれたり、希望すれば面接に同行してくれたり、頼もしい存在になるかもしれません。

ハローワークではインターネット求人検索サービスも行っているため、出向くのが大変な障害者の方でも利用しやすいでしょう。
また、ハローワークでは、合同就職面接会を始めとした大小多くの就職面接会を開催していますが、障害者の方を対象とした就職面接会も実施しています。
さらに、障害者を含む求職者と企業が、最長で3ヶ月の有期雇用契約を結び、契約期間の終了時に企業が採用したいと思ったら、正社員採用されるトライアル雇用制度も魅力的でしょう。

求職者も企業側も、ハローワークのすべてのサービスを無料で利用できます。
障害者枠の求人だけでなく、一般枠の求人に応募することも、もちろん可能です。
手帳の有無は問われません。
ただし、医師の意見書などが必要になるケースもあるでしょう。

地域障害者職業センター

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が各都道府県に設置している「地域障害者職業センター」は、障害者の方が就職・就労するための、専門的な支援サービスを提供しています。
本人の希望を中心に丁寧にヒアリングすることで、現段階での仕事能力を分析し、就職・就労計画の方針を一緒に決定します。

サポートを通じて勤労に必要な習慣を体得し、あわせてコミュニケーション能力向上を目指します。
就職・就労後は、職場に職場適応援助者(ジョブコーチ)を派遣し、本人と企業をサポートしてくれるでしょう。
さらに、企業に対して障害者雇用管理の専門的なコンサルティングもしています。

なお、センターの利用料は無料です。また、障害者手帳を持っていることは必須ではありません。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害を抱える方がお住まいの地域で就業と生活を両立できるよう、サポートすることをミッションとしています。

各保健所の管内に設置され、地域に密着した支援を行っていることが特徴です。
支援内容は、具体的には次の通りです。

<就業支援>
・就業準備支援、就業活動支援、職場定着支援など、就業に関するもの
・障害者の方への適切な対応など雇用管理面での、企業に対するアドバイス
・教育、福祉、保健などの関係機関との緊密で速やかな連絡調整

<生活支援>
・生活習慣、健康管理、経済管理な、生活の自己管理に関するアドバイス
・住居、年金、活動など、地域での社会生活に関するアドバイス
・関連組織との連絡調整によるセーフティーネットの構築

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、18歳以上で満65歳未満の障害のある方が、一般企業へ就職するための支援を行う、福祉サービスです。

まずは通所しながら一般企業で継続して就労するためのスキル、コミュニケーション能力や体調管理までを、職業訓練を通して体得します。
そして、就労活動では、カウンセリングや応募書類の制作、面接対策までをサポートします。

就労移行支援事業所は、障害者手帳を持っていない方は、主治医に意見書を書いてもらうことで利用できるでしょう。
収入によって、無料の場合と自己負担金が発生する場合がありますが、大半の方は実際は無料で利用しているようです。
工賃は基本的には出ません。利用期間は、利用開始から就職決定までですが、最長で2年間が期限です。

以上、4つのタイプの支援機関を紹介してきましたが、これらは相互に連携しながらサポート体制を組んでいます。
いずれも無料で相談が可能なためは無料、まずはお気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか?

心機能障害の方が仕事をする上での対処法

最後になりますが、心機能障害の方が仕事をするとき、気をつけなければならない点や、取るべき対処法には、どのようなものがあるのでしょうか?
ここで、代表的な4点を見てみましょう。

運動の制限

心機能障害のある方が運動する場合には、その頻度や量を無理のない程度に設定しなければなりません。
スポーツ活動に制約がかかるのはもちろん、日常生活の上でも階段の昇り降りや立ち上がる動作といった、心臓に負荷がかかる動きは、可能な限り回避しましょう。

職業生活上では、重い物品を取り扱わなければならない場合は台車を使用させてもらうなど、職場にも理解を得られるよう働きかけましょう。

栄養管理と体調管理

心機能障害の場合は、動脈硬化につながる「中性脂肪」や「コレステロール」、血圧の上昇により心臓に負担をかける「塩分」は、控えめにする必要があります。

禁忌事項としては、酒類は原則として禁止され、喫煙についても厳禁です。
トウガラシなど刺激の強いスパイスも避けた方がよいでしょう。

職場においては、体調は自己管理が原則ですが、食事を一緒にする機会もあるため、ダメなものはダメときちんと伝えなければいけません。
加えて、寒暖差の激しい環境は心臓に多大な負荷をかけますから、できるだけ室内1ヶ所での作業のみの仕事にしてもらいましょう。

規則正しい生活リズム

心機能障害者の方にとっては、規則正しい生活リズムや睡眠時間は特に大事なことでしょう。
睡眠不足は心臓が収縮して送り出す血液量を低下させてしまい、全身のエネルギー消費に必要となる酸素の供給が追いつかなくなる「無酸素代謝状態」になりやすいと、研究で明らかにされています。

睡眠時間は貯めておけないため、夜更かしはせず、朝は余裕を持って目覚められるよう、毎日の規則正しい習慣として身に付けておきましょう。

メンタルヘルスの配慮

心機能障害により仕事や生活に制約がかかってしまうと、健常者が普通に行っている様々なことができなくなり、精神的につらい気分になってしまう場合があるでしょう。
加えて、心機能障害があることで交感神経が興奮してしまうため、強度の不安や焦燥を感じてしまう可能性も考えられます。

メンタルが不安定だと、心機能にもマイナスの影響を与えてしまいます。事実、精神的なストレス、特に抑うつは、自律神経の正常な働きを乱し、心臓病の重要な危険因子になると考えられています。
実際に、心機能障害でデバイスの埋め込みをするとうつ病を発症しやすいなど、心臓の疾患とこころの疾患の関連性が報告されています。

そこで大切になるのは、本人とその家族、仕事仲間が安心できるように、平時から主治医や産業医などの専門家と十分なコミュニケーションを取って、リスクと対処法を正しく理解し、みんなで認識をシェアすることでしょう。

まとめ

この記事では、心機能障害について、基礎事項から就労するための方法や注意点までを解説しました。

障害を抱えながら就労することは、決して楽ではなく壁に当たることもあるかもしれません。
そのようなときには無理をせず、周りときちんとコミュニケーションを取りながら、正しい理解に基づいて一緒に乗り越えていけるとよいですね。