ナビゲーションブックは何の役に立つ?作成する目的や作成方法、メリットを解説!

2023年3月20日

障害者雇用枠で就職活動を行う際には、面接先に対して自分の障害内容や求める配慮についてあらかじめ伝える必要があります。
しかし、面接時間内に志望動機から障害内容に合わせた配慮まで、全てを伝えきることは困難でしょう。そんな時に作成しておくと役立つのがナビゲーションブックです。

そこで、この記事では障害内容の説明に役立つナビゲーションブックを作成するまでのステップ、そしてメリット等を解説していきます。

 

ナビゲーションブックとは

ナビゲーションブックは、何らかの障害を持つ求職者が就職活動を行う際、より円滑に進める手立てとして有用な、面接先へ提出するための添付資料です。

ここでは、ナビゲーションブックを作成する目的や、記載内容を解説していきます。

ナビゲーションブックの目的

ナビゲーションブックは、求職者の障害の特性や、業務上で必要な配慮などを面接先に伝えるという目的で作成されます。
履歴書や職務経歴書、障害者手帳といった応募書類と共に、応募先へ提出するか、面接の際に持参します。

ナビゲーションブックを添付することにより、会社側の面接担当者は限られた時間の中で、求職者の人柄だけでなく、障害の状態についても把握することが容易になります。
また、採用後の手続きからその後の定着支援といった、長く働くために重要な一連の流れにおいても手助けとなるでしょう。

ナビゲーションブックの内容

ナビゲーションブックを作成する際には、求職者の障害名・通院服薬の状況・仕事やコミュニケーションで希望する配慮・健康面に関する情報などの記載が基本となります。

例えば、定期的な通院が必要だったり、服用している薬の副作用によって疲れやすかったりするなどの情報をナビゲーションブックに記載しておくと、勤務時間の調整など求職者の現状に適した配慮を受けやすくなるでしょう。

また、求職者本人の得意分野・苦手分野や、長所・短所を併せてそれぞれ前もって企業側へ伝えておくことにより、採用した際にどういった仕事を割り振るか、どういったサポートを行えるかを企業側が考えやすくなるメリットもあります。

ナビゲーションブックを作成するまでのステップ

ここからは、面接で使用するナビゲーションブックを作成するまでのステップを、順を追って説明していきます。

自分の長所・短所を書き出す

まず最初に自分の得意分野、苦手分野を一通り書き出してみましょう。特に苦手分野に関しては、障害特性がどういった影響を与えているかも書き出しましょう。

障害者雇用では、求職者が障害を持っていることを採用側が理解した上で面接・採用を行います。長所・短所を明確に伝えておくことで、企業側としては応募者がなぜその配慮を求めているのかが明瞭になり、自分たちが行う配慮の具体策をイメージしやすくなるのです。

もし自分の長所・短所を具体的に書き出すのが困難な場合、周囲の人から意見を聞くという方法もあります。
長所ならともかく、自分の短所を聞き出しはっきりと自覚するのは気が引けるかも知れません。しかし短時間で企業側へアピールするには、こういった事前情報をナビゲーションブックに記載しておくことが重要なのです。

プレナビゲーションブックを作成する

プレナビゲーションブックとは、面接本番前に行う職場訓練や模擬面接で使用する、実習用のナビゲーションブックです。
プレナビゲーションブックの書き方に関しては、あらかじめ決まったフォーマットはありません。求職者の障害名や、通院・服薬の状況など、ナビゲーションブックに記載する内容を基本にしましょう。

かんたんに作成したい場合は、就職支援関係のWebサイトで配布されているテンプレートを利用するのもひとつの方法です。

ポイントは、必要な情報をA4用紙1枚から2枚分程度に収まるように書くことです。
実習の段階から簡潔にまとめておくことで、障害の特性や必要な配慮などを、面接本番でもわかりやすく伝えることが期待できます。

模擬面接・職場実習を行う

プレナビゲーションブックが作成できたら、模擬面接や職場実習でプレナビゲーションブックを活用してプレゼンテーションを行うステップへ移行しましょう。

障害内容や必要な配慮などの説明を実際に行ってみて、模擬面接担当者からの感想や自分で気づいたことを基にして振り返り、メモなどで記録します。

必要に応じて内容の追記や修正を行うことで、志望企業に対して一層、真摯な印象と正確な情報を与えられるようになるでしょう。

ナビゲーションブックを作成する

プレナビゲーションブックの追記や見直しが終わったら、実際に使用する正式版のナビゲーションブックを作成します。
ただし、完成したらそこで終わりではなく、就職活動で使用する際には面接先の業種や職場環境等に応じ、内容をその都度更新する作業が必要です。

入社後も就業経験を積む過程で新しく気づいたことがあったり、異動によって職場環境が変わったりした場合にも内容を再度確認し、修正・加筆していきましょう。

障害の特性に応じた最新版を作っていく過程で、WordやExcelといった、共有相手に伝わりやすい文書作成のスキルを身に着けられればなお良いでしょう。

 

ナビゲーションブックを活用するメリット

ナビゲーションブックには、面接を円滑に進められる以外にもさまざまなメリットが存在します。
ここでは、ナビゲーションブックの活用による、就職活動において得られるメリットについて詳しく解説していきます。

自分の障害を説明できる

求職者の障害特性によっては、普段の行動や業務中の対応などが周囲に影響を与える場合があります。

しかし、同じ障害名であっても症状が異なるケースもある上に、面接担当者がそれぞれの病状や障害特性について専門的な知識を持っているとは限りません。
そこで、ナビゲーションブックを添付資料として提出することにより、自分の障害特性を専門家でない面接担当者に対しても詳しく説明・共有ができるのです。

相手企業にとっては、ナビゲーションブックを参考にすることで配慮に必要な設備などが把握しやすくなり、採用する際の判断を行いやすくなるメリットにもつながります。

障害特性に適した配慮を受けやすくなる

障害特性に適した配慮を受けるためには、障害特性の正確な説明と、企業側の担当者の理解が不可欠です。
障害特性により実施できない業務や、実施にサポートを必要とする業務についても、ナビゲーションブックにより把握してもらうことができます。

配慮の例としては、音に敏感な場合は電話応対や雑音の少ない部署への配属、自分で段取りを立てるのが苦手な場合は予定表やマニュアルを整備してもらう、などが考えられます。

また、新しい職場や部門などに配属された際にも、ナビゲーションブックを更新しておけば就業時に必要な配慮や障害特性などの説明・情報共有が行いやすくなります。
職場環境が変わった際にも職場への情報共有がスムーズに行えることは、定着率アップにもつながり、求職者と企業の双方にとって大きなメリットと言えるでしょう。

 

ナビゲーションブックを作成する際のポイント

個々人の障害特性に適した職場を探す為には、現状を正しく理解してもらうためのポイントを押さえたナビゲーションブックの作成が必要です。

ここでは、ナビゲーションブックの質を向上させるポイントを2つ解説します。

会社が知りたい情報を伝える

ナビゲーションブックの質を向上させ適切な配慮を受けるには、自身の障害やその特性についての正確な情報が記載されているかどうかがポイントになります。

例えば突発的な来客対応ができなかったり、時間帯や時期によって気分が極端に落ち込んでしまったりするなどの悩みや問題がある場合は、遠慮なく企業側にそれを伝えましょう。
その他、通院・服薬のタイミングや苦手意識を感じる作業など、業務内容や勤務時間に影響する情報はできる限り包み隠さず正確に記載します。

面接の時間は限られているので、正確な情報を短時間で効率的に伝えられるよう要約しておきましょう。

定期的にバージョンアップを行う

ナビゲーションブックは場面に応じ、定期的にバージョンアップを行いましょう。
常に正確な情報へ更新しておくことにより、新たな自分の可能性が見つかったり、職場環境や障害の状況・特性の様子に応じた配慮を受けられたりする可能性が高まります。

障害者自らが面接の経験や就業経験を積むことにより追記内容が見つかったり、配属先や担当者が変わるなど、更新の機会は数多くあります。

 

まとめ

ナビゲーションブックを適切に活用することで、障害者雇用の面接をスムーズに進めることが期待できます。
障害特性や得意分野、必要な配慮などの条件を資料としてまとめることで自分に適した会社を探しやすくなるなど、ナビゲーションブックの作成は求職者にとってさまざまなメリットをもたらしてくれます。

就職後のトラブルを防ぐためにも、ぜひナビゲーションブックを活用して自分の特性・得意分野・苦手分野を再確認し、ミスマッチのない雇用につなげていきましょう。