ADHDの人が転職で成功するには?向いている仕事や仕事の探し方について

2023年3月20日

ADHDと診断された方のなかには、周囲との付き合い方や業務とのマッチングに不安を感じ、転職を考える人も多いのではないでしょうか。
しかし、転職したとしても根本的な解決にはならないのではないか、と一歩を踏み出せずにいる方もいるかもしれません。

この記事では、ADHDの特性に向いている職種や、効果的な転職の方法について解説します。自身の特性やスキルを理解することで、自身の能力を存分に発揮できるでしょう。

 

ADHDとは

ADHDとは、「注意欠如・多動性障害」とも呼ばれる発達障害のうちの一つです。
症状としては、主に不注意・多動性・衝動性の3つが挙げられます。具体的にはどのような症状が現れるのか、それら3つの症状を解説しましょう。

不注意

1つのことにばかり意識が向いてしまい、それ以外のことに注意が向かず、いわゆる「ケアレスミス」や「物忘れ」が多くなります。
誰にでもあることではと思われるかもしれませんが、ADHDの診断を受けた方には、日常生活に支障をきたすほどに悩みを抱えているケースも少なくありません。

また、気が散りやすく、集中力が長続きしません。そのためマルチタスクが必要になる業務では、うまく力を発揮できないこともあります。

「先のことを予測して仕事の計画を立て、その通りに行動する」といったプロセスも苦手で、先延ばしをしてしまい納期に間に合わなくなった、任された仕事や予定をうっかり忘れるといった問題が起こります。

多動性

落ち着きがなく、じっとしていられないという症状です。
行動として目に見えて表れやすいため、「授業中にじっとしていられない」などの症状が見られれば、幼少期にADHDであると発覚するケースも少なくありません。

少しずつ社会規範を覚えて大人になるにつれて、走り回ってしまうような症状は少しずつ安定してくるようになります。

ただし、手遊びや貧乏ゆすりをしてしまう、そわそわと落ち着きがなくなるといった動作は残ることもあります。

衝動性

順番が待てない、他人の話が終わる前に口を挟む、後先考えず衝動買いしてしまう、などが代表的な症状として挙げられます。

また、思ったことを考える暇もなく口に出したり、感情をコントロールできずに怒りに任せて行動したりするなど、職場の対人関係を上手く構築できないことがあります。

このようなADHDの症状を本人や周囲が理解できていないと、本人の性格や努力不足の問題として片付けられてしまうこともあります。
そのため、本人は一生懸命働いているはずなのに特性の影響でミスやトラブルが生じ、その結果として落ち込みや自信の喪失から、抑うつなどの二次障害につながる場合もあります。

 

ADHDの人が転職を成功させるためのポイント

では、ADHDの人が転職を成功するために必要なことはどんなことでしょうか。
ここでは、ポイントを3点に絞ってご紹介します。

自分の障害について理解を深める

ADHDという診断は同じでも、不注意の症状が強く表れる人、多動性・衝動性の症状が表れる人、どちらも混合して表れる人など、症状の出方や、どのような特性によって困りごとが生じるのかは人によりさまざまです。
そのため、まずは自分の障害特性について知ることが大切です。

頻発してしまうミスや困っていることを挙げ、どのような状況で起こりやすいのか、自分の行った行動は何かなど、内容を客観的に振り返り整理してみましょう。
自分の行動を客観視する思考を習慣化できると、具体的な対策の把握に繋がります。

また、自分の障害について深く理解することで、自身の症状や現状を他者に向けてわかりやすく説明することができるようになります。
先ほども少し触れましたが、仕事に困難を抱えている理由が、周囲からは本人の性格や努力不足と解釈されているケースも少なくありません。
ADHDという障害がどのようなもので、どのような困りごとが生じやすいかを端的に伝えられれば、周囲の障害に対する理解が深まり、企業側にとってもサポートに力を入れやすい環境になるでしょう。

自分のスキルを再検討する

次に、転職活動にあたって自分をアピールするために自身が持つスキルを再確認しておくことが重要です。
自分の障害を把握したうえで、働くうえで自分が得意なこと・苦手なことを答えられるようにしておきましょう。

ADHDの特性として、自分の興味のある物事には突出した能力を発揮する人もいます。
具体的には、並行作業は苦手だが1つの作業に集中できる、自由な発想力や思考力を生かしてアイディアを次々に出せるなどが挙げられるでしょう。

専門知識を必要とする業務や、クリエイティブな分野で力を発揮している人など、ADHDの特性を生かしているケースもさまざまな分野で見受けられます。

発達障害者支援センターを活用する

発達障害者支援センターは、ADHDを含む発達障害の方の日常生活をサポートしてくれる施設です。
利用に年齢制限はなく、発達障害者本人やその家族のほか、発達障害の診断を受けていないがその可能性のある「グレーゾーン」の方であっても利用が可能です。
主に都道府県や各自治体が運営し、窓口が設けられています。

就労希望者への就労相談はもちろん、ハローワークや地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターといった関係機関と連携し、情報を提供してくれます。
また、就労先が決まったあとも、職場の環境整備のための助言やサポートなど、担当スタッフによる就労後の定着支援を受けることが可能です。

 

ADHDの人に向いている仕事とは

それでは、ADHDの方に適した職業は具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、一般的にADHDの方に向いているとされる仕事をご紹介します。ご自身の障害特性を考慮しながら、参考にしてみてください。

プログラマーの仕事

マルチタスクが苦手なADHDの方には、1つの作業に集中して行うプログラマーなどの開発職が向いているといわれています。特性を「短時間で多くのコードが書ける」といった強みとして生かしている方もいます。

そして、作成したプログラムを動かしてみてミスやバグがあれば改善していく、というプロセスも相性が良い要素のひとつです。
基本的にはミスの発生が命取りになる職業ではないため、ケアレスミスがどうしても多くなってしまう人にとっては、負担が減る作業環境となっています。

また、フレックス制や在宅勤務など、企業によっては場所や時間にとらわれず働ける選択肢があるというメリットもあります。
ただし、どうしてもクライアントへの納期が存在するため、ワークスケジュールを組むことが苦手な方は注意が必要です。

アーティスト系の仕事

「創造性豊かでアイデアをすぐに出せる」「興味がある分野では集中力や才能を発揮する」というADHDの特性は、アーティストや芸能の分野で活躍したい場合に大きな強みとなるでしょう。

具体例としては、ミュージシャン・漫画家・カメラマン・スタイリストなどが挙げられます。
近年はそういった職業に必要となる、専門学校やセミナーなどの専門的知識を獲得する選択肢が豊富に揃っているため、候補のひとつに入れてみるのもよいでしょう。

デザイナー系の仕事

Webデザイナーなどのデザイン関係の仕事も、ADHDの方に向いていると言えます。

デザインには著作権があるため、個性的で新しい発想が浮かびやすいADHDの特性は、似たり寄ったりの内容を避けられる点で非常に有利です。
オリジナリティのあるデザインをコンスタントに提供できる環境が整えば、クライアントと良好な関係を築けるでしょう。

また、デザイナー系の仕事は、フリーランスとして独立するなど柔軟な働き方をしている方も少なくありません。もちろん納期は存在するものの、自分のペースが何よりも大事という方にはストレスなく働きやすい環境と言えます。

 

ADHDの人におすすめの転職方法

向いている職業が分かっても、なんの手がかりもなく転職活動を始めるのは難しいものです。
ここでは、ADHDの方が転職を始める際に活用できるサービスについてご紹介します。

ハローワークを活用する

ハローワークでは障害者支援にも力を入れており、「障害者トライアル雇用事業」「若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム」「発達障害者雇用トータルサポーター」というサービスを提供しています。

以下ではこの3つのサービスについて詳しくご説明します。

障害者トライアル雇用事業

障害を持つ方を原則3ヵ月試行雇用することで、求職者と企業のお互いが継続して就労・雇用するかの判断をするサービスです。

「働いてみたらイメージと違った」といったミスマッチを、正式に雇用される前に把握できるというメリットがあります。

疲労感が強いなどの要因でフルタイムに近い業務が難しい人のために、週20時間未満からスタートし、最終的に20時間以上の勤務を目指す短時間労働者向けのコースもあります。

若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム

発達障害などに由来する対人関係に悩んでいる方の希望や特性に応じ、支援センターに連携する支援事業です。

ハローワークと高等教育機関が連携をとりながら、主に職業相談や対人トレーニングなどの就職支援を個別に実施するというものです。

また、障害による専門支援を希望しない方にもハローワークの一般相談窓口へ誘導し、個別相談を実施しています。

発達障害者雇用トータルサポーター

精神保健福祉士や臨床心理士などの福祉資格を持つサポーターを通じて、カウンセリングなど就職に向けた支援を行っているサービスです。

職場見学の同行や面接練習、企業や各種関連機関との調整のほか、就労後の職場における悩みや不安もカウンセリング対象となっています。

ただし、現在トータルサポーターが在籍しているのは13の地域のハローワークのみと、まだまだ少ないため、利用を希望している方は事前に確認が必要です。

精神障害者保健福祉手帳を取得する

精神障害者保健福祉手帳とは、発達障害を含む精神疾患が原因で日常生活・社会生活に困難が生じている人に発行される証明書のことです。市役所などの障害福祉課で申請でき、交付後は2年ごとの更新が必要です。

申請には医師の診断書が必要、かつその内容が審査に大きく関わります。そのため、自身の特性や困りごとについてしっかりと医師と共有することが重要です。

精神障害者保健福祉手帳を保持していると、各企業における障害者枠での就労が可能になります。
障害者雇用では、サポート範囲は企業によって異なるものの、基本的には障害の特性に合わせた配慮を受けることができます。

具体的な配慮としては、体調または精神的な不調に合わせて勤務スケジュールを柔軟に調整できたり、一人で落ち付けるように個室の休憩スペースを確保したり、といった内容が挙げられます。

障害者枠で転職支援サービスを利用する

障害者枠での転職はハローワークだけではなく、一般企業が運営する「転職支援サービス」を利用するという選択肢もあります。

転職支援サービスとは、さまざまなケースに対応できる転職のプロから、実際に転職に成功するまで二人三脚でサポートを受けられるサービスです。

具体的には、自分の強みの見つけ方や転職先にどのような配慮をしてもらいたいかに関するカウンセリングのほか、面接の対策、応募書類の添削、希望に沿った求人の紹介などがあります。

障害者枠の求人数は一般求人と比較すると多くはないため、転職先が見つかるのか不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、転職支援サービスの中には障害者雇用に特化したサービスもあるため、安心して転職活動を進めることができます。

 

まとめ

この記事では、ADHDの特性をお持ちの方の転職方法について紹介しました。

ADHDに限らず、障害があることで「なかなか転職なんてできない」と悩みを持つ人も少なくありません。
しかし、自身の障害に関する知識を持ち、強みや弱みを見出す「自己分析」が重要なことは、障害の有無にかかわらず同じです。
むしろ、業種によってはADHDの特性をプラスに活かし、他の人よりも大きな力を発揮できる可能性もあるのです。

何から始めたら良いかわからないという場合は、就労を助ける機関のサポートを訪ねてみて、ご自身のペースに合った働き方を探してみましょう。