内部障害に向いている仕事を探すコツは?障害ごとに必要な配慮を解説

肢体以外で体の内部に障害を持つことを、「内部障害」と呼びます。内部障害は体の内部に抱える障害なため、他者からの理解を得ることが難しい障害です。内部障害のある方は配慮のある環境下でないと就労できないことが多く、障害者雇用枠での就職・転職活動をしたほうがいいケースもあります。

今回は、内部障害の方に向いている仕事や仕事を探すコツについて解説していきます。

内部障害とは

内部障害は心臓や腎臓など、目には見えない体内部に生じる障害のことです。内部障害を持つ方のほとんどは食事や着替えなどの日常生活を1人でこなすことが可能なため、障害を持たない方と同じように思われてしまうこともあるかもしれません。しかし、ほかの人よりも疲れやすかったりストレスで障害の症状が悪化しやすかったりと、働く上で配慮が必要な方も多く存在しているのです。

内部障害の方は、障害を持つ部位によって必要な配慮や症状が異なってきます。したがって、一概に「この仕事は向いていない」ということはできません。一人ひとりの症状に合わせて、無理ない範囲で働ける仕事を探すことが何よりも大切になります。

内部障害の分類と必要な配慮

それでは、内部障害にはどんな種類や特徴があるのでしょうか。ここからは、内部障害の分類と必要な配慮についてみていきましょう。

  • 心臓機能障害:血液循環機能の低下により、心臓機能が低下する障害です。不整脈や狭心症、弁膜症などの疾患が該当します。ペースメーカーを使用していたり、動機や息切れ、体力の低下などが症状に出るため、階段の上り下りや体力を要する仕事を避ける必要があります。
  • 呼吸器機能障害:肺機能の低下によって呼吸困難や咳などを引き起こす障害です。酸素ボンベを携帯する方もいます。階段や坂道、たばこの煙を苦手とすることが多いため、「呼吸がしやすい体勢で仕事をさせる」「喫煙室から離れた席にする」といった配慮が必要です。
  • 腎臓障害:腎臓の働きが悪くなり、疲れやすくなってしまう障害です。人工透析が必要な方もおり、通院時間や体力面への配慮が欠かせません。
  • 肝臓機能障害:肝臓の機能が低下し、倦怠感や黄疸などが生じてしまう障害です。感染症に弱いため、徹底的に感染症対策をすることが求められます。また、周囲の方はアルコールを勧めないよう、配慮しましょう。
  • 膀胱・直腸機能障害:病気の影響で、膀胱や直腸の機能が低下する障害です。悪性腫瘍や炎症性疾患、先天性の病気で引き起こされることもあります。場合によっては人工肛門や人工膀胱を造設した「オストメイト」に対応したトイレが必要なこともあります。
  • 小腸機能障害:小腸の機能が低下し、消化吸収や栄養維持ができなくなる障害です。クローン病や先天性腸閉塞症などの病気、手術などによって引き起こされます。鼻から管を入れたり静脈に栄養を注入したりと、栄養補給の方法が通常とは異なることがあります。
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染することで免疫機能が低下してしまう障害です。弱い病原体でもすぐに体調を崩してしまうため、感染症対策はしっかりと行いましょう。また、体液を介さない限りは周囲に感染させることがないことをしっかりと理解し、プライバシーに注意した正しい配慮をすることが大切です。

このように、内部障害は分類によって症状も必要な配慮も異なります。面接などでは自分の症状をしっかりと伝え、相談しながら業務内容について話し合うことが大切です。

内部障害の方に適した仕事とは

内部障害がある方が仕事を探すときは、何よりも障害に配慮した上で無理のない範囲で働ける職場を探すことが大切です。それでは、具体的にはどんなことに注意して仕事を探せばいいのでしょうか。ここからは、内部障害の方に適した仕事について3つ解説していきます。

体調に合った内容の仕事

内部障害の方が仕事を探すときは、体調に合った内容の仕事を探すことが大切です。一口に内部障害といっても、障害によって症状は様々なので「この仕事が向いている」と限定することはできません。逆に、体調に合うものであればどんな仕事に就くこともできるため、まずは「できること」「できないこと」を明らかにして仕事探しをすることをおすすめします。

たとえば障害によっては、「長時間の立ち仕事」「力を使う仕事」「長時間休憩ができない仕事」などが向いていないこともあります。障害者雇用であれば、できない業務に配慮した仕事を任せてもらえるケースが多いため、一般枠だけではなく障害者雇用枠も検討してみましょう。

体調不良に対応できる環境での仕事

万が一体調不良になったときにすぐ対処できる環境かどうかも、仕事探しでチェックしておきたいポイントです。医務室が用意されている企業であれば、体調不良のときにしっかりと休めます。また、産業医や看護師が在籍していれば、働き方について気軽に相談することもできます。

医務室の設置や産業医の常駐がない企業であっても、AEDや応急処置用の医療機器の用意がある企業であれば、いざというときに対処してもらえるでしょう。また、近くに障害に対応できる病院などがあれば、急に体調を崩したときもすぐに駆け込めて安心です。仕事面での働きやすさだけではなく、体調不良になってしまったときにどう対処するのかについても考慮の上、仕事や企業を選ぶことが重要です。

無理のない労働環境での仕事

仕事内容や医療体制はもちろんのこと、労働環境における配慮の有無も仕事探しでチェックしておきたいポイントです。内部障害で疲れやすい方の場合、通勤ラッシュを避けて出社できるフレックスタイム制の導入が必要なこともありますし、自宅でテレワークができるとより安心できるかもしれません。また、通院に配慮して出社日数を調整できる仕事が適していることもあるでしょう。

こうった配慮を面接などで申し出るのは勇気が必要なことですが、どこまで配慮すればいいかを企業側が正しく知る上でも非常に大切な情報となります。必ず内定前に確認し、双方で同意しておくようにしましょう。

内部障害の方が仕事を探すときのコツ

内部障害を持つ方はさまざまな配慮が必要となるため、自分に合った仕事探しを成功させるにはコツを押さえておく必要があります。ここからは、内部障害の方が仕事を探すときのコツについて解説していきます。

採用担当者に正しく障害について伝える

せっかく就職できても、内部障害に配慮してもらった働き方ができなければ、長期間働き続けることはできません。早期退職を防ぐためにも、採用面接の段階で障害について正しく情報共有をしておくことを意識してください。

このとき障害の症状だけではなく、配慮してもらいたいことやできないことをしっかりと伝えることが大切です。「採用されたい」という気持ちで症状を軽く伝えると、後々仕事をすることが辛くなってしまいます。とくに障害が原因で前職を退職した場合は、必ずその理由と対策法について伝えられるようにしておきましょう。

障害者雇用を検討する

内部障害で障害者手帳を取得している場合、障害者雇用枠での求人応募が可能です。障害者雇用枠であれば障害に応じた配慮をしてもらいやすく、勤務時間や仕事内容についても比較的希望が通りやすくなります。実際に、平成29年に厚生労働省が発表した「障害者雇用の現状等」によると、身体障害を持つ方の1年後の職場定着率は、障害をオープンにした一般求人が41.5%、障害者求人では70.4%という数値になっています。このことからも、障害者求人のほうが障害に配慮してもらいやすく、職場定着率が高いことがわかるでしょう。

内部障害を持つ方のなかには、「障害者雇用は任せられる業務が限られる」と考えて一般枠で求人応募したいと考える方もいるかもしれません。しかし障害害者雇用であっても、経験やスキルを活かせる求人は豊富に存在しています。障害の程度や症状に合わせて自分らしく働ける求人を探すためにも、障害者雇用を選択肢に入れてみてくださいね。

障害がある方の就職活動を支援する専門機関を頼る

「自分で障害に合った求人を探すことが難しい」「障害への配慮を相談する勇気が出ない」という場合は、障害がある方の就職活動を支援する機関を頼ってみましょう。専門機関であればプロが相談に乗ってくれ、場合によっては条件を交渉してくれるケースがあります。

障害がある方の就職支援をしてくれる機関としては、以下のようなものがあります。

  • ハローワーク

障害や疾患を持った方向けの窓口があり、求人紹介や選考のサポート、働き方やキャリア形成の相談に乗ってくれます。

  • 地域障害者センター

全国の都道府県に設置されており、障害者専門の職業カウンセラーやジョブコーチが職業リハビリテーションを提供してくれます。

  • 就労移行支援事業所

企業で働くための知識や能力を身につける職業訓練や、適性に合った仕事探しをサポートしてくれる機関です。書類や面接の添削、職場定着の支援などにも対応しています。

  • 障害者就業・生活センター

障害者の仕事だけではなく、生活についても相談できる機関です。ほかの機関よりも気軽に相談しやすいところが特徴で、日常の悩みを話したり支援制度の紹介を受けることができます。

  • 障害者向け転職エージェント

無料で障害者向けの求人や転職サポートが受けられる、民間企業が提供するサービスです。非公開の障害者向け求人を紹介してもらったり、選考対策や労働条件・配慮に関する交渉を代行してもらうことが可能です。

ご紹介した専門機関は、すべて無料で利用できます。プロの力を借りることでより好条件の企業に就職できるようになるケースも多いため、困ったことがあれば気軽に相談してみましょう。

内部障害の転職は一人ひとりに合った仕事を見つけることが大切!

内部障害の方は、障害を抱える部位や症状によって、できる仕事とできない仕事が大きく変わってきます。まずは自分の症状をしっかりと把握し、無理のない範囲で働ける仕事や職場を探していきましょう。

スムーズに仕事探しを進めたいなら、障害者向けの転職エージェントココピアの活用がおすすめです。障害に理解のある専門コンサルタントが、一人ひとりに最適な求人の提案と労働条件の交渉を行います。障害と向き合いながらいきいきと働ける仕事をお探しなら、ぜひココピアにお任せください。