オープン就労で高収入転職は可能?障害者でも高収入が得られる仕事と転職のポイント
障害を持つ方の転職活動で課題になるのが、「オープン就労」にするか「クローズ就労」にするかというポイントです。読んで字の如く、障害を開示して転職活動することをオープン就労、障害を非開示にして転職活動することをクローズ就労と言います。
オープン就労に対して、「求人の種類が限られてしまうのでは」「収入が安くなってしまうのでは」と不安や抵抗感を抱いている方もいるかもしれません。しかし、実はポイントさえ押さえれば、オープン就労でも高収入な仕事に転職することは可能です。
この記事では、オープン就労の高収入転職を成功させるためのポイントを解説します。
障害者がオープン就労の転職で高収入を狙うことは可能?
そもそも、障害者がオープン就労で高収入を目指すことは可能なのでしょうか。
いくらからが高収入を指すかは人によって異なりますが、年収600万円以上であれば上位2割に入ると言われています。今回は、年収600万円以上を高年収として話を進めていきます。
障害者の収入はどれくらい?
厚生労働省が発表した「平成30年度障害者雇用実態調査」によれば、障害者の平均月収は以下のようになっていました。
- 身体障害者:21万5千円
- 知的障害者:11万7千円
- 精神障害者:12万5千円
- 発達障害者:12万7千円
国税庁が発表した「平成29年分民間給与統計調査」における一般雇用枠の平均年収は432万円であったため、一般的な平均月収は36万円程度だということがわかります。このデータから見ても、障害者の平均賃金は低い傾向にあるのです。
障害者の賃金が低くなってしまう理由としては、以下のような要因が考えられます。
- 体調の波があって正社員としての勤務が難しいため
- 体力的にフルタイム勤務ができないため
- 離職率が高いため
- 事務職や軽作業など、できる業務が限られるため
障害者は体調や体の状態によって希望する働き方ができない方が非常に多いため、健常者に比べると収入が減ってしまう傾向にあります。
オープン就労で高収入を得ている障害者もいる
平均収入が低くなりがちな障害者ですが、実は高収入を得ている方がいることも事実です。厚生労働省が行なった「障害者の生活状況に関する調査結果の概要」によれば、身体障害者において年収600万円以上の方は年金ありで6%、年金なしで4.5%もいることがわかっています。また精神障害者においても、月収40万円以上の方が年金ありで0.8%、年金なしで4.9%の割合でした。
このことから、障害を持っていても高収入の求人を狙うことは決して不可能ではないことが分かります。ただし、障害者がご自分でやみくもに転職活動をしても、高収入な仕事に転職することは難しいです。今回ご紹介するコツを実践し、より高収入な企業に転職できるようにしていきましょう。
高年収の転職にオープン就労がおすすめの理由
高収入の仕事を目指して転職をする場合、年収が下がってしまうことや業務内容が制限されることを避けるために、クロース就労を検討する方も少なくはありません。しかし、長期的なキャリアを築くためにも、障害者の方にはオープン就労で転職することがおすすめです。
ここからは、その理由について3つご紹介します。
①障害や体調への配慮が受けられる
オープン就労の最大のメリットは、障害や体調への配慮が受けられる点です。障害を抱えている方は、それぞれの障害によって苦手とする業務があります。そういった得手不得手に対応した業務の割り振りや周囲の合理的配慮があれば、障害や体調がハンディキャップにならずにいきいきと仕事ができるようになるでしょう。
例えば、耳に障害を持っていて言葉を聞き取りにくい場合でも、文字を使ってコミュニケーションを取ってくれる体制が整っていれば安心して仕事ができます。精神的な障害があって心が不安定な方であれば、営業やお客様対応の業務を避け、自分のペースで進められる事務中心の業務を割り振ってもらえると安定的な就業が見込めます。
こういった障害や体調への配慮は、クローズ就労ではなかなかしてもらえないものです。ご自身の特性に応じた配慮を受けながら自分らしく働けるのは、オープン就労の大きなメリットでしょう。
②職場定着率が高い
オープン就労で前項のような配慮が受けられれば、職場定着率が上がって長期的なキャリア形成ができるようになります。
厚生労働省が平成29年に行った「障害者雇用の現状等」によれば、障害者の1年後の職場定着率は以下の通りだということがわかりました。
- 一般求人のクローズ就労:30.8%
- 一般求人のオープン就労:49.9%
- 障害者求人:70.4%
上記のデータを見ても、障害をオープンにした就労のほうが定着率が高くなることが読み取れるでしょう。
オープン就労でしっかりと職場に定着できて長く勤められるようになれば、年々給与は上がっていきます。はじめは高収入ではない求人であっても、オープン就労で長く働くつれて高収入が得られるようになる可能性もあるのです。
③体調不良や再発のときも安心
オープン就労で転職ができれば、万が一体調不良や障害の症状が再発してしまったときも安心です。とくに内部障害や精神的障害を抱えている場合、体調の波が激しく就労が難しくなってしまう時期もあるかもしれません。そういったときもオープン就労であれば、安心して休憩をもらったり休職をしたりすることが可能です。
日本の法律では、障害者に対し障害を理由に解雇することは禁止されています。しかし、クローズ就労で入社したあとに障害のことがわかれば、企業は対応に困ったり十分な配慮ができなくなったりする可能性が高まってしまうでしょう。あらかじめ障害について伝えておけば、万が一のときも企業に正しい対応をしてもらえるようになります。
障害者がオープン就労の転職で高収入を狙える仕事の条件
障害者がオープン就労の転職で高収入を選ぶためには、一定の条件を満たした仕事を選ぶ必要があります。ここからは、オープン就労でも高収入な求人が多い仕事の条件について解説します。
①オープン就労で高収入が狙える業種
オープン就労で高収入が狙える職種としては、以下のようなものが挙げられます。
- 商社
- IT・通信業
- 金融業
- 建設業
- 不動産業
一般的に高収入と言われている業種は、オープン就労の場合であっても高収入である可能性が高いです。どれも専門知識が必要となる業種ですが、職種によっては未経験でも入社できるケースがあるため、チャレンジしてみる価値はあるでしょう。
②オープン就労で高収入が狙える職種
オープン就労で高収入が狙える職種としては、以下のようなものが挙げられます。
- 金融・不動産専門職
- コンサルタント
- ITエンジニア
- 電気・機械技術者
- 営業・企画職
- 建築・土木技術者
オープン就労の転職で高収入を狙いたいのであれば、専門知識や技術は欠かせません。もし今までのキャリアやスキルを活かして上記のような職種に転職できそうな場合は、高収入が得られる可能性が高くなります。
ご紹介してきた業界や職種に関する知識や技術がない場合は、インセンティブが狙える求人を探してみることをおすすめします。オープン就労であっても、無理のない範囲で仕事をしながらインセンティブで高収入を狙うことは十分に可能です。
③オープン就労で高収入が狙える資格やスキル
オープン就労で高収入を狙うためには、専門知識を身につけることが非常に重要です。とくに高収入が狙える資格やスキルの例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 語学力
- 中小企業診断士
- 社会保険労務士
- 宅地建物取引士
- ファイナンシャルプランナー
- 建築設計士
- プログラミング
難易度が高いものばかりですが、なかには社会人として働きながらでも取得できる資格やスキルもあります。より高収入な仕事に転職したい場合は、上記のような資格やスキルを取得しておくのもひとつの手です。
オープン就労でも高収入が狙うためのコツ
オープン就労で高収入を狙うためには、ポイントを押さえた転職が大切です。障害に配慮してもらいながら高収入が得られる仕事を探すときは、3つのコツを意識しましょう。
①キャリアや専門知識が活かせる業種・職種を選ぶ
先述してきた通り、高収入の転職には専門知識が欠かせません。もちろん、これから資格取得をして専門知識を身につけることもできますが、可能であれば今までのキャリアや知識が活かせる仕事に転職をすることが望ましいです。経験や業務で培った知識があれば年収交渉もしやすいですし、管理職への近道になります。
資格取得は一種のアピールポイントにはなりますが、即戦力を求める転職において未経験の有資格者が大きく有利になることは少ない傾向にあります。確実に高収入な仕事に転職したいのであれば、新しい業界や職種に挑戦するよりも、経験のある業務内容の仕事を検討したほうがいいでしょう。
②市場が伸びている業種を選ぶ
市場が伸びている業種を検討することも、オープン就労の転職で高収入を狙うときにはおすすめです。市場が伸びている業種はそれだけ人手を求めており、給与も高めに設定されているためです。
IT化が進んだ近年はとくに、システムエンジニアやプログラマーの需要が伸びています。また建設業界も需要が高いため、高収入が得られやすい業種といえるでしょう。市場や経済の動向をよくチェックし、需要が高まっている業種を選んで転職をすることがオープン就労成功のカギです。
③管理職を狙う
管理者やマネージャーになれば、当然給与も上がっていきます。はじめは給与が低い仕事であっても、長期的に働いて管理者になることで給与が上がり、高収入を得られるようになる可能性が高いです。
管理職には専門知識や長期的なキャリアが必要に思われるかもしれませんが、企業によっては未経験の人材でも管理職候補として採用してくれることがあります。本人のやる気に応じて管理者候補にできるかどうかについては判断されるため、採用面接のときはしっかりと意欲をアピールしておくことが重要となるでしょう。
オープン就労で高収入な仕事に転職するときの注意点
オープン就労であっても、ご紹介してきたポイントを押さえれば高収入な仕事に転職することは十分に可能です。しかし、年収だけで判断をしてしまうと、障害者の転職は失敗してしまう危険性があります。
ここからは、障害者がオープン就労で高収入な仕事に転職するときの注意点についてご紹介します。
①無理のない範囲で働ける仕事を選ぶ
高収入にこだわるあまり、業務内容を軽視して転職活動を行うことは絶対に避けましょう。どんなに高収入であっても、障害や体調に合わない仕事であれば、結局続かず早期退職につながってしまうリスクがあります。
たとえ今体調がよくても、無理をしてしまえばすぐに体調を崩すことになってしまいます。調子がいいときではなく、調子が悪いときでも無理なくこなせる業務内容の仕事かどうかを判断基準にすると、無理のない仕事選びができるでしょう。
②障害や体調について嘘をつかない
採用面接の際、採用率を上げたいと考えて障害の程度や体調について嘘をついてしまう人は少なくありません。少しでも転職活動を有利にしたいと考える気持ちは理解できますが、オープン就労で嘘を就くことは絶対にやめておきましょう。せっかくのオープン就労枠であるのに十分な配慮が受けられず、働き続けることができなくなってしまう危険性があります。
言いにくい症状がある場合は、伝え方に気をつけるだけで印象を変えることが可能です。例えば「発達障害で計算が苦手です」と伝えたい場合は、「計算が苦手ですが、エクセル表や電卓があれば問題ありません」と言い換えると、計算が苦手であることを前向きに伝えられます。
このように障害や体調で不安なことがある場合は、苦手な業務だけではなく対処法を一緒に言うようにしましょう。企業に対して配慮を求めるだけではなく、本人も努力していることが伝わり好印象を残せます。
③年収アップを転職理由にしない
より高収入を得るために転職をする場合でも、転職理由を聞かれたときに正直に話すことは避けましょう。年収が転職理由だと言ってしまうと、「どこでもいいのでは」「お金以外に興味がないのでは」と思われてしまうためです。
年収についての言及は最小限にとどめ、金銭面以外の転職理由を伝えるようにしてください。
オープン就労で高年収転職を狙うなら転職エージェントがおすすめ!
オープン就労で高年収を狙うためのコツや注意点をご紹介してきましたが、より確実に年収アップを狙いたいのであれば転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントとは、求職者と採用したい企業をつなぎ、さまざまなサポートをしながらよりよいキャリアの実現を手助けするサービスです。
障害者専門の転職エージェントを利用すれば、オープン就労でも高収入の求人を狙いやすくなります。
転職エージェントがおすすめの理由
オープン就労を検討している方に転職エージェントをおすすめの理由は、以下の3点です。
- 高年収の非公開求人が多い
- 障害に応じた求人を紹介してもらえる
- 選考対策と入社後のサポートが手厚い
- 年収交渉や体調の相談をしてもらえる
転職エージェントにはハローワークや一般的な求人サイトに掲載されていない非公開の優良求人が豊富です。その中からプロのコンサルタントが障害の特性や体調に応じた求人を紹介してくれるため、在職中の方でも効率よく転職活動ができます。
また、履歴書や面接の添削をしてくれるので、より選考に通過しやすくなる点も大きなメリットです。年収交渉や体調の相談もすべて代行してくれるため、「配慮をお願いすることが申し訳ない」「もっと給与が欲しい」といった言いにくいことも、自分で交渉する必要がなくなります。
転職エージェントは障害者目線に立ってよりよい就労環境を整え、希望以上の好条件な職場への転職をサポートします。
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障害者は平均年収が低い傾向にありますが、業種や職種によっては高年収のオープン就労が可能なケースもあります。ぜひこの記事でご紹介したコツや注意点を押さえて、よりよい環境でより高収入を得られる転職を実現してください。
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