障害者も在宅ワークで働ける!職種や求人の探し方、メリット・デメリットをご紹介

2023年3月20日

近年、リモートワークや在宅勤務、在宅ワークといった言葉をよく耳にするようになりました。厚生労働省からもガイドラインが公開されており、以前よりも「出勤しない働き方」が身近になっています。

在宅ワークはその名の通り自宅での勤務を前提としているため、移動や着替えなどが負担になってしまう方でも取り組みやすい働き方です。

本記事では、そもそも在宅ワークの定義とは何なのかから解説し、その種類やメリット・デメリット、在宅ワークの探し方などもご紹介します。

 

在宅ワークとは?

在宅ワークとは、パソコンなどの情報通信機器を活用して注文者から依頼を受け、自宅やコワーキングスペースなどで仕事をすることです。
テレワークや在宅勤務、内職など「自宅で仕事をする」という観点でみると同じですが、雇用形態など細かな点で異なっています。

まずは在宅ワークが増えた背景など、概要について解説しましょう。

在宅ワークが増えた背景

在宅ワークをしている方を対象に「在宅ワークを始めた理由」を調査した厚生労働省のデータによると「都合の良い時期、時間に働けるため」と回答した割合が54.6%、次いで「スキルや趣味を活かした仕事がしたいため」と回答した割合が40.8%という結果でした。
(出典:厚生労働省ガイドライン)

また、これらの理由に加えて、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴いさまざまな企業で在宅勤務が導入された結果、いわゆるリモートワークが身近になっていることも増加の背景にあると考えられます。

在宅勤務や内職との違い

在宅ワークという言葉には明確な定義がないため、自宅で働くというようにぼんやりとしたイメージがある方もいるでしょう。

在宅勤務や内職との違いは、在宅ワークをより明確化した言葉である「自営型テレワーク」について考えれば分かりやすいのではないでしょうか。

「HOME WORKERS WEB」によると、自営型テレワークとは「注文者から委託を受け、情報通信機器を活用して主として自宅又は自宅に準じた自ら選択した場所において、成果物の作成及び役務の提供を行う就労」とされています。

また、会社に雇用されている方が自宅で仕事をする「在宅勤務」や家内労働法の適用を受ける「家内労働者(内職)」とは異なるという点も明記されています。

要約すると、自ら仕事を受託し、オフィスにとらわれずさまざまな場所で働く働き方と言えるでしょう。

 

障害者が在宅ワークで働くメリット・デメリット

障害のある方にとって、着替えや移動などの行動は制限や負担を生む原因になります。
これらを最小限に抑え、慣れた環境で働ける在宅ワークはメリットの多い仕事ですが、同時にデメリットも存在します。

ここでは、障害のある方が在宅ワークで働くメリット・デメリットをご紹介します。

 在宅ワークのメリット

通勤せずに仕事ができる

障害のある人が在宅ワークで働くメリットの最たるものは、通勤が不要な点です。

障害の内容によっては電車への乗車を苦痛に感じるなど、移動自体が負担になるケースがありますが、在宅であれば問題なく仕事に取り組むことが可能です。
身支度や着替えに時間がかかってしまう場合や、会社と自宅の距離が離れている場合にも在宅ワークのメリットを感じられるでしょう。

また、本来通勤に充てるはずだった時間が自由になることで、プライベートを確保しやすい点も注目に値します。

住む場所を選ばない

就職する企業の立地が遠方であった場合、通勤のため、事業所の近場に引っ越すケースが一般に考えられます。

在宅ワークでは、仮に完全在宅でない場合でも月に1~2回の出勤日がある程度のため、無理に引っ越しを行う必要がありません。
障害を持っている方は他人からのサポートを必要としている方も多いことから、家族のいる家に住んだまま仕事ができるのは大きな利点です。

また、収入が一般雇用よりも少ない傾向にある障害者雇用においては、家賃の安い場所に住むことで経済的な余裕が生まれるという副次的なメリットもあります。

落ち着いて仕事に取り組める

障害によっては、周囲の雑音や人の目があると上手く集中できない特性がありますが、在宅ワークであれば落ち着いた環境で仕事に取り組めます。
また、一人で仕事をすることが多いため、人間関係から来るストレスを軽減出来ます。

発達障害があり、コミュニケーションが苦手な方や、精神障害を患っていて対人関係からストレスを感じやすい方には嬉しい点でしょう。

ただし、チャットや通話でのミーティングはある程度行うことになるため、完全に他人とのコミュニケーションが無くなるわけではありません。

在宅ワークのデメリット

メリハリを付ける必要がある

メリットが大きい在宅ワークですが、その一方で作業の進捗を見てくれる人物が居ないため緊張感を持てなかったり、反対に集中し過ぎて休憩を忘れてしまったりというデメリットもあります。

オン・オフの切り替えができる環境を用意するなど、しっかりと私生活と仕事のメリハリを付ける工夫が重要です。

普段過ごす場所とは別に仕事専用スペースを設けたり、スケジュール管理のツールを利用したりするほか、勤務時間外はパソコンの電源を切るなど、自分の性格や特性に合った対策を探してみると良いでしょう。

一人で作業しなければならない

在宅ワークではすぐに相談出来る人物が近くに居ないことから、ある程度一人で業務を進められる事が前提となります。
チャットや通話で相談することも出来ますが、相手の様子が分からないため、すぐに返答してもらえるとは限りません。そのため、多くの場面で自力で解決できる技量が求められます。

 

在宅ワークには、どんな仕事がある?

在宅ワークには、さまざまな種類の仕事があります。その中から自身に合う職業を見つけるためには、まずは求人の探し方を知るところから始めましょう。
一般的な求人情報を探すのと同様にハローワークで求人を探したり、転職サイトを利用したりするだけでなく、後述するクラウドソーシングサイトを利用した仕事探しも可能です。
 

ハローワークで求人を探す

ハローワークでは在宅勤務の求人が検索可能です。相談窓口で直接相談したり、ハローワークインターネットサービスでパソコンやスマートフォンから求人を検索したりできます。

ハローワークを活用した求人探しのメリットは、収入の安定性や情報の正確性、安全性です。
ハローワークの求人には一定の掲載審査があるため、十分な収入の得られない企業や、心身に負担の大きいブラック企業に入社してしまうリスクをある程度抑えられるでしょう。

一方で、紹介状などをハローワークに直接取りに行く必要がある点は、在宅で生活も仕事も完結させたいと考える方にはデメリットといえます。

また、完全在宅ではなく「在宅勤務可」と表記されている場合は、通勤での勤務が基本となっている場合が多いので注意が必要です。
その場合は完全在宅の他の求人を探すか、不安な場合はあらかじめ募集元へ確認しておくと良いでしょう。

転職サイトなどを利用する

ハローワーク以外には、都道府県・地方自治体のサイトや転職サイト、クラウドソーシングなどを利用する方法があります。

都道府県や地方自治体のサイトには「在宅ワーク情報提供サイト」や「内職仲介サイト」があり、転職サイトなどでも在宅勤務の条件で仕事を探すことも可能です。

さらに、オンライン人材斡旋サービスであるクラウドソーシングを利用するという選択肢もあります。
これはアウトソーシング(仕事を外注すること)の一つで、Webサイトを介して仕事を探している方と人手が足りない事業者・企業を結ぶイメージのサービスです。

 

在宅ワークでできる職業をご紹介!

在宅で働ける職業にはパソコンに関する職種が多く、特にプログラミングの技術がある場合はプログラマーやWebデザイナーが視野に入ります。

プログラミングの知識がなくても、基本的なパソコン操作を理解していれば、データ入力やWebライティングといった仕事を引き受けることが可能です。
また、パソコンが苦手な人でも軽作業やテレアポといった選択肢が存在します。

技術を生かす!プログラマーやWebデザイナー

プログラマーとは、依頼者側から受け取る設計書に従いRubyやHTMLといったプログラミング言語を駆使して、Webサービスやアプリの開発を行う仕事です。パソコンのみで対応できる案件から専門機材が必要な案件、厳重なセキュリティ下で行う案件など、内容は多岐にわたります。

WebデザイナーはWebサイトの企画やデザイン、制作などを行う職業です。Webサイト全体の構成やメニューバーなどの配置を決めたりするだけでなく、ロゴなどのデザインを決定したり、プログラマー同様にWebサイトを自ら構築するケースもあります。

どちらも企業に所属したり、フリーランスとして働いたり、柔軟な働き方ができる点が魅力です。

資格がなくても!データ入力やライティング

データ入力とは、ExcelやWordなどを利用して情報をまとめる仕事です。
具体的には、アンケート結果や顧客情報など企業が収集した情報を表などにまとめたり、発送先住所や伝票をシステムに登録したりします。求人の種類によっては、その情報を用いて書類を作成するなど、関連した事務作業も行う場合もあるでしょう。

ライティングとは、ネット上でよく見かけるようになった情報記事を書く仕事です。
インターネットを利用した情報収集が身近になったことで、近年は特に需要が高まっています。また、クラウドソーシングなどで多数の案件募集が公開されている職種であり、間口が比較的広い仕事とも言えます。

どちらもパソコンの基本操作が理解できていれば取り組める仕事なので、プログラミングやデザインなどの技術がなくても働けます。

 

パソコンが苦手な人向け!軽作業やテレアポ

在宅での軽作業は、一般的に内職と呼ばれるような職業です。
シール貼りやポケットティッシュに広告の紙を入れる、化粧品などの袋詰め、簡単な部品の組み立てなど多岐にわたります。

テレアポとはテレフォンアポインターの略称で、自社製品を紹介して商談のアポを取ることが主な目的です。
訪問営業と比べてマニュアルがしっかりしており未経験でも始めやすく、出来高制の場合は時間の融通が利くケースも多いので、自身の体調と相談しながら働けます。

どちらも、1日の作業量やかける電話の本数などを事前に決めておくと、体調に応じて計画的に働けるでしょう。

在宅ワークの際にあると便利なスキル・資格

在宅ワークにはさまざまな職業がありますが、多くの場合WordやExcelなどのパソコンスキルが求められるケースが多いでしょう。
ここでは、取得しておくと役に立つ資格の例としてMOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)とWebライティング能力検定をご紹介します。
 

MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)

マイクロソフトオフィススペシャリストとは、WordやExcel、PowerPointなどの利用スキルを証明する資格です。製品のバージョンごとに試験科目が用意されています。
また、WordとExcelには一般レベルと上級レベル(エキスパート)の2種類があり、最初の受験から上級レベルの選択も可能です。

試験は全国一斉試験と随時試験があり、全国一斉試験では毎月1~2回、随時試験では各試験会場が設定した日程に開催されていて、ほぼ毎日試験を開催しています。 

Webライティング能力検定

Webライティング能力検定とは、日本WEBライティング協会が2012年から開催している検定です。
受検課目は、Webライティングに相応しい日本語を問う国語やウェブライティング、コピーライティング、メールライティング、SEO、倫理、法律、炎上対策に加えて、200~300字のWebライティングに関するミニ論文が出題されます。

Webライティング能力検定は年2回開催されており、検定を受ける際に必要な費用は13,500円、DVDセットの場合は19,800円です。
1~3級までの級位があり、認定された級位には2年間の有効期限がありますが、更新料12,000円を支払うことで再受験することなく再認定を受けることができます。

 

在宅ワークに向いているのはどんな方?

在宅ワークはその名の通り、自宅という気兼ねする必要がない環境での仕事なので、どんな方でも効率良く進められると思われがちな働き方です。

しかし、自身の性格・特性によっては気が緩んでしまったり、集中しすぎて適度な息抜きができず疲れてしまったりと、在宅特有のさまざまな問題が発生する場合もあるので留意しておきましょう。

ここでは、在宅ワークに向いている方の傾向をご紹介します。

自分から積極的に行動できる方

出勤して働く場合とは異なり、在宅ワークでは上司や同僚がその場にいるわけではないため、自発的に動いて仕事をする必要があります。

例えば、担当している仕事が終わったら次の仕事を探したり、分からない点は早めに聞いたりと、自ら積極的に行動を起こす姿勢が重要です。

与えられた仕事の中でも優先度を付けて取り組める方や静かな環境の方が集中できる方、スケジュール管理が得意で計画性のある方などは在宅ワークが向いています。 

自己管理ができる方

在宅で働いていると監視する人がいないのでサボってしまったり、集中しすぎて休憩を忘れてしまったりする恐れがあります。
そのため、時間配分および自己管理の徹底が継続のポイントです。

また、業務経験や体調管理、コミュニケーション能力なども必要です。
分からない事柄があっても、出勤して働く場合とは違い、すぐに確認が取れないケースもあるからです。

さらに、上司や先輩に細かく連絡をする習慣も重要でしょう。
ある程度の業務経験があれば、独自に進められる仕事の割合が増えるほか、質問・確認が必要な事柄をすぐに判断して動けるため、在宅ワーク向きと言えます。

 

まとめ

在宅ワークとは、パソコンなどの情報機器を用いて依頼を受け、仕事をこなす働き方です。
働く場所は自宅やコワーキングスペース、カフェなど幅広く、働き方の融通が利くことから、多くの方に注目されています。

通勤せずに働けるので、着替えや移動が負担になってしまう障害を持っている方でも、安心して仕事に取り組めるのも在宅ワークの魅力です。
プライベートに近い環境で働くからこそのデメリットはありますが、計画的に仕事を進めて自発的に動ける方には適した働き方といえるでしょう。

仕事の内容は幅広く、プログラマーやWebデザイナーといった知識が求められるものや、データ入力やライティングといったパソコンの基本操作ができればできるもの、パソコンが苦手な方でもテレアポや軽作業といったものがあり、自分に合った仕事を選択可能です。

働き方が多様化する昨今、出勤する必要のない在宅ワークを検討してみるのも有力な選択肢のひとつでしょう。