障害別に向いている仕事を徹底解説!特性を理解して仕事選びに活かそう

2023年1月11日

就職に際してご自身の障害に不安を感じている方や今の職場で働き続けるのが難しいと感じている方は、障害者雇用枠での就職・転職を検討してみましょう。

障害者雇用に応募したことがない方にとっては疑問点が多いかと思いますが、知ってしまえば難しくはありません。

今回は、障害者雇用の概要や障害別に向いている職業について解説します。

 

障害者雇用とは?

障害者雇用とは、事業主や自治体などが障害を持っている方を特別な採用枠で雇用する制度です。障害のある方が障害のない方と同じ環境で働くと、どうしても不便を感じやすくなります。不便を不便のまま放っておけば、障害のある方は仕事を続けにくくなり、充実した職業生活を送れません。

政府はこのような不平等を解消するために、障害の有無にかかわらず誰もが仕事で活躍できる社会を目指しました。そして、障害のある方が配慮を受けながら働けるように障害者雇用枠が設置されました。

障害者雇用の対象となるのは、原則として障害者手帳を取得している方です。もともとは身体障害と知的障害に限られていましたが、2018年からは精神疾患を持っている方も障害者雇用の対象となりました。

障害者雇用の現状

2021年に厚生労働省が発表した調査によると、法定雇用率を達成した民間企業は47.1%となっており、前年比で1.6ポイント下落していました。障害のある方を十分に雇用している企業は、未だ少ないのが現状です。

しかし、障害者雇用枠での就職が難しい状況とは言い切れません。

民間企業で雇用されている障害のある方は59万7,786人となっており、前年よりも1万9,494人増加していました。18年連続で過去最高を更新しています。

民間企業での雇用者数で最も多くの割合を占めているのは、身体障害のある方です。しかし、知的障害のある方と精神障害のある方の雇用者数は15年連続で増加しています。

障害者雇用が企業に浸透していないという課題はありますが、障害者雇用の現状は決して悪いとは言えません。

参考:令和3年 障害者雇用状況の集計結果

データで見る障害者雇用の仕事内容

障害者雇用での仕事内容は幅広く、さまざまな職種で障害のある方が活躍しています。実際にはどのような職種に就いているのか、詳しく解説しましょう。

障害者雇用が多い産業

障害者枠の実雇用率が法定雇用率を上回った産業は「医療,福祉」(2.85%)、「農,林,漁業」(2.34%)、「電気,ガス,熱供給,水道業」(2.34%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(2.34%)でした。

「医療,福祉」産業は昔から障害のある方を多く雇用しているため、障害のある方にとってメジャーな就職先です。

雇用されている障害のある方の数はほとんどの産業で前年よりも増加しており、幅広い産業で障害のある方が活躍しているとわかります。

参考:令和3年 障害者雇用状況の集計結果

障害者雇用が多い職業

厚生労働省が2021年に発表した調査では、ハローワークを通じて障害者枠で雇用された方の32.6%が「運輸・清掃・包装等の職業」に就いています。次いで「事務的職業」(23.1%)、「サービスの職業」(12.2%)に就く方が多いという結果になりました。

障害別に見てみると、身体障害のある方と発達障害などを持っている方の多くは事務的職業に就いています。精神障害のある方と知的障害のある方は「運輸・清掃・包装等の職業」に就いている方が多くいます。

参考:令和3年度ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの 取りまとめを公表します ~「障害者の就職件数」が2年ぶりに増加~

 

障害別の向いている職業

障害者雇用では幅広い職業を募集しており、実際にさまざまな職業で障害のある方が活躍しています。

障害者雇用での就職・転職を検討している方は、ご自身の障害特性を活かせる職業は何かを考えてみましょう。向いている職業であれば長く快適に働けます。

ここからは、障害者雇用でよく募集されている職業を、向いている方とともに解説しましょう。

事務職

身体障害または発達障害を持つ方に向いている可能性があるのは、事務職です。電話やメールの対応をはじめとする接客業務や資料の作成や備品の発注など、幅広い業務をこなします。

事務職の業務内容は企業や部署によって異なりますが、比較的融通が利いて自分のペースで仕事を進めやすいのがメリットです。また、ツールなどを活用しやすいというメリットもあります。

視覚障害のある方は、キーの配列を覚えて音声読み上げソフトを活用すれば、ほとんどの業務は一人で行えるでしょう。臨機応変な対応が苦手な方は接客業務などは行わず、他の業務を任せてもらえれば問題ありません。

営業職

営業職は発達障害のある方に向いている可能性があります。

多動・衝動性の傾向が強い場合、同じ場所に留まり続けることは窮屈に感じるでしょう。外回りの多い営業職であれば常に移動し続けられるため、ストレスなく働ける可能性があります。

営業用のマニュアルを作成するなどの工夫は必要ですが、障害特性を活かして働けるでしょう。

クリエイティブ職

クリエイティブ職とは、デザイナーやライター、イラストレーターなど、アイデアを形にする職業です。一人で黙々と作業することに抵抗がなければ、どの障害を持つ方にもお勧めできます。

障害のある方の中でも特に向いている可能性が高いのは、不注意の傾向が強い発達障害のある方です。クリエイティブ職は多くのアイデアを出す必要があるため、何か作業していても関係のないアイデアが浮かぶという特性のある方に向いています。

多くのクリエイティブ職はパソコンさえあれば業務を進められるため、在宅勤務が可能です。車いすでの移動で通勤に時間がかかってしまう方や毎日外出するのが難しい方は、在宅勤務に対応している求人を探してみましょう。

運送業務

障害者雇用の中でも求人数が多いのが運送業です。運転さえできれば業務は遂行できるため、体を動かすのに支障のない方であれば就職のチャンスがあります。

運送業は運送ルートが決まっていることが多いため、ルーチンワークが苦にならない方や、長期間の運転でも高い集中力を保てる方に向いている職業です。体力的に厳しく、責任も大きい仕事ですが、その分給与は高めに設定されています。

製造・梱包業務

メーカーでの製造工程業務や梱包業務も、障害者雇用の求人が多い傾向にあります。知的障害や精神障害を持つ方の就職先として人気の職業です。

製造・梱包業務は一つの作業を繰り返し行うことが多いため、マルチタスクよりもシングルタスクで活躍できる方に向いています。また、業務中はあまり会話する必要がないため、周囲とコミュニケーションをとるのが苦手な方にもお勧めです。

清掃業務

清掃業務は一人で黙々と業務を進めたい方に向いています。障害者雇用で採用される方も多い職業であるため、障害のある方が挑戦しやすい職業です。特に、知的障害や発達障害のある方にとってポピュラーな就職先となっています。

清掃するルートはある程度決まっているため、ルートや掃除の仕方を覚えてしまえば自分のペースで業務を進められるのが魅力です。

障害のある方が働くためには周囲からのサポートが必須ではありますが、自分一人の力で進めた方が効率よく働ける場合もあります。

専門知識や経験を活かした業務

障害のある方の中には、専門的な知識や資格が必要な仕事に向いている方もいます。

例えば、視覚障害のある方が「あん摩マッサージ指圧師」という国家資格を取得して施術所に就職することは珍しくありません。視覚に頼れない分、触覚を研ぎ澄まして技術を向上させられるという点が、視覚障害のある方の特性に合っており、就職先として人気を集めています。

また、発達障害のある方が専門分野の研究者として活躍するパターンも少なくありません。一般的な企業で営業職や事務職を行うよりも、興味関心のある分野に没頭できる仕事のほうが向いているという場合も往々にしてあります。

 

障害者雇用で求人を探すなら転職エージェントへ相談を

障害者雇用だと職業選択の幅が狭まるというイメージがありますが、調べてみると幅が狭いということはありません。障害があっても働けるのかという不安についても、ご自身の障害特性を理解した上で仕事を選べば、無理なく仕事を続けられます。

既に働いているけれど、障害があるために苦痛を感じているという方は、障害者雇用枠で転職することも選択肢の一つとして検討してください。

ご自身に適した仕事が見つからない場合は、障害者雇用専門の転職エージェントを活用してみましょう。障害者雇用について詳しい専門のスタッフが、あなたの就活をサポートしてくれます。

困りごとは一人で抱え込まず、周囲のサポートを得ながら解消していきましょう