発達障害はプログラマーに向いてる?プログラマーになるための方法を解説
「プログラマー」と聞くと、ハードルが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、プログラマーの需要は大きくなり続けており、未経験でも挑戦しやすい職業となっています。また、比較的柔軟な働き方ができることから、発達障害を抱える方に向いている職業の一つです。実際に発達障害を抱えながらプログラマーとして働いている方も少なくありません。まずはプログラマーの仕事内容について知り、自分に合っているか確認してみましょう。
この記事では、プログラマーの概要や初心者におすすめのプログラミング言語、適性、生かせる資格、学習方法など知っておきたい情報をご紹介します。
プログラマーとは?
プログラマーは、「プログラミング言語」というコンピューターを動かすための言語を活用してさまざまなシステムやソフトウェアを作るための「プログラミング」を行う職業です。私たちがスマートフォンで普段使用しているアプリはすべてプログラミングによって作動しています。アプリだけでなく、電子レンジやWi-Fiなどの通信自体にもプログラミングが活用されるなど、プログラマーの仕事内容は多岐に渡ります。
基本的な仕事内容はシステムエンジニアが設計したプログラムの仕様書に基づいて、システムが作動するようプログラミングを行うことです。その過程でバグやエラーを発見することもプログラマーの重要な役割です。不備のない状態で納品するためにも、テストや修正を繰り返す必要があります。
プログラマーの種類
プログラマーの種類はさまざまで、各分野で仕事内容が異なります。
- WEB関連:WEBサイトやWEBサービスのシステム開発です。クライアント側とサーバー側(裏方)に業務が分かれています。
- 組込み、制御関連:家電製品・テレビ・スマートフォンなどの機械制御プログラムを設計します。
- アプリケーション関連:パソコンやスマートフォンで使用されるアプリケーションの開発を行います。
- 社内システム関連:自社で使用する業務システムの開発や運用を行います。
- 設備制御関連:交通機関・工場・研究所など設備に関する制御を行います。
- オープン・オンライン関連:ネットワーク上で使用するWEB関連システムや、サーバーシステムの構築・開発を行います。
- 汎用関連:クレジットカードや金融機関の顧客データベースなど、大企業や政府機関を対象とした大規模システムの運用を担うプログラマーです。
- 通信関連:ルーター・モデム・Wi-Fiなどネットワークに特化したプログラマーで、クラウドサービスも通信系に含まれます。
プログラマーのやりがい、将来性
IT技術の急速な進化に伴い、プログラマーはさまざまなシーンで必要とされています。自分の手で開発したシステムによって人々の生活に貢献できる点がプログラマーにとっての大きなやりがいでしょう。アプリ開発に携わっていれば、街中で実際に使用している人を見かけるかもしれません。プログラマーの需要が高まったことから、キャリアの選択肢も広がりました。実績を積めばキャリアアップや収入アップも期待できます。AIやIoT、ブロックチェーンなどプログラムが必要な技術が注目されていることから、プログラマーの将来性は高いと考えられます。
初心者におすすめの言語
デジタル機器には必ずコンピューターが組み込まれているため、正しく動作するプログラムを作るにはプログラミングスキルが必須です。プログラミング言語は人間の言語のように多種多様な言語が存在しており、言語によって利用分野や得意、不得意が異なります。プログラミング言語を学習する際は、各言語の特徴を理解して分野に応じた言語を使えるようにしましょう。ここでは、プログラミングの初心者におすすめの言語をご紹介します。
Python(パイソン)
AIやIoTの分野で多く使われている言語です。AI/機械学習・WEBアプリ開発・デスクトップアプリ開発・IoTのシステム開発・統計やデータ分析など、幅広い用途で使用できます。Pythonは文法がわかりやすく、初心者でも学習しやすい点が特徴です。便利なライブラリ(よく利用される機能を切り出して再利用できるようにまとめたもの)も豊富にそろっているため学習難易度もそれほど高くありません。
Ruby(ルビー)
日本人が開発した日本由来のプログラミング言語です。利用目的としては、「Ruby on Rails」というフレームワークを使ったWEBアプリ開発が代表的です。WEBアプリ開発以外にも、APIの作成・スマホアプリ開発・スクレイピングなどが行えます。日本で開発されたため、日本語の資料が多く利用できる点もメリットです。可読性の高さやコードを簡潔に書ける点などから、初心者でも学習しやすい言語といわれています。
Java(ジャバ)
Javaは、簡単なスマホアプリから大規模なシステム開発までカバーできるプログラミング言語です。
「コンパイラ言語」と呼ばれる言語に分類されます。業務システム開発・WEBアプリ開発・Androidアプリ開発・デスクトップアプリ開発・組込み系システム開発・IoTシステム開発など、幅広い開発が実現可能です。
学習難易度はPythonやRubyなどより高く、コンパイラ言語特有のクセがあります。そのため、開発環境の構築や文法習得などに時間がかかるでしょう。しかし、Javaは関連情報がネット上に充実しているため学習環境が整っています。また、Javaを習得すれば高度なプログラミングスキルを習得可能です。さらに、Javaは汎用性が高いため、求人数の多い言語でもあります。そのため、将来の選択肢を広げたい方にはおすすめです。
プログラマーの適性がある人材
スキルや経験が少ない方でも、適正があればプログラマーとして就職できる可能性があります。ここでは、プログラマーに向いている資質について解説します。
論理的思考
論理的思考を持ち、目的を達成させるために順序立てて考えて問題を解決することができる人はプログラマーに適しています。論理的思考とは「ロジカルシンキング」とも呼ばれるもので、物事を1つの論理的な秩序やまとまりの中に整理して矛盾や飛躍がない道筋を立てる思考のことです。
コミュニケーション能力
プログラマーはシステムエンジニアと連携をとりながら働きます。そのため、システムエンジニアが設計したプログラムの内容や目的を正確に理解して、疑問が生じたら明確にしていく力が求められます。プログラムを開発を進める中で疑問点や設計ミスがあった場合は、システムエンジニアとコミュニケーションをとりスムーズな課題解決を図らなければなりせん。
向上心や継続力
プログラマーにとっては、向上心や継続力が重要な資質となります。IT業界は日進月歩のため、継続的に最新技術や業界の情報を収集して学習する姿勢がプログラマーには必要です。
プログラマーにおすすめの資格
ここでは、プログラマーを目指す際に取得しておきたい資格をご紹介します。自身のIT知識や技術を客観的に証明できると就職活動で強みになるでしょう。
ITパスポート
ITパスポートは、ITに関する基礎的な知識への理解力が問われる、IT分野入門レベルの国家資格です。近年では多くの分野がIT化しており、さまざまな業務でパソコンの使用頻度が増えています。従って、プログラマーやエンジニア以外のさまざまな業種でも役立てられます。
基本情報技術者
基本情報技術者は、ITエンジニアが理解しておくべき知識を学習できる国家資格です。IT関連の業務に携わっている人やIT業界で働きたい人を対象にしています。「コンピューター・システムの仕組み」「データベース」「ネットワーク」「セキュリティ・システム」「ソフトウェア開発の流れ」「経営・マネジメント」など幅広い分野を学習できます。ITパスポートが全ての社会人を対象としているのに対して、基本情報技術者はIT技術者が対象です。そのため、難易度はITパスポートと比べて高めに設定されている点に注意しましょう。
民間資格の各プログラミング言語資格
プログラミング言語には各種民間資格があり、取得には基礎から応用までの幅広い知識が求められます。自分が学習している言語の資格を持っていると、就職活動で言語について一定の理解があることを証明できます。また、独学でプログラミングを学んでいる場合は、資格取得を目標にすれば計画的に学習できるでしょう。主な資格として「oracle認定Javaプログラマ」「C言語プログラミング能力認定」「PHP技術者認定」「Ruby技術者認定」などが挙げられます。
発達障害はプログラマーに向いている?
ここまで一般的なプログラマーについての紹介をしてきました。では本当にプログラマーは発達障害のある方に向いているのでしょうか。ここでは、その理由について解説します。
発達障害の特性を活かせる
ASDやADHDの傾向にある方は、好きなことであれば極度の集中力を発揮して取り組むことが出来るケースがあります。その特性を生かして、複雑なコードをミスなく書けるという方も少なくありません。特にASDの一種であるアスペルガー症候群はシリコンバレー症候群との別名があるほどで、これはシリコンバレーで働くIT技術者にはアスペルガー症候群やグレーゾーンの方が多く居ることから来ています。ただし、障害特性を活かす為にはプログラミングが好きであることが大前提です。プログラマーに興味がある場合は、まずは自分がプログラミングを好きになれるか試す事から始めましょう。
働き方の選択肢が豊富
働き方の選択肢が豊富なこともプログラマーの魅力です。プログラマーはパソコンを使って作業するため在宅ワークを導入している企業も数多く存在します。通勤のストレスを取り除き、自宅の慣れた環境で仕事に打ち込めため、長期的に働きやすい環境といえるでしょう。実績を積めば、フリーランスとして働くこともでき、自分で可能性を広げられます。
障害者枠では未経験者でも応募しやすい
プログラマーの求人は、未経験者用一般求人で平均30歳前後と多くの場合に年齢制限が設定されています。しかし、障害者雇用の求人では年齢制限が大きく緩和されています。企業は障害者を雇って法定雇用率を達成する必要があるため、雇用条件や年齢制限の幅を広げて障害者が入社しやすくしているためです。未経験でも挑戦しやすい点も強みでしょう。
プログラマーに向いていないケースもある
確かに発達障害を持つ方はプログラマーに向いている事もありますが、そうでない場合もあります。以下のような方は注意が必要です。
プログラミングを好きになれない
向いている理由でも書いたように、障害の特性を活かすにはプログラミングが好きであることが必要です。
コミュニケーションが嫌い
プログラマーはプロジェクトメンバーや仕様書を作成したSEと綿密なコミュニケーションを取る必要があります。コミュニケーションが苦手程度であれば、チャットでのミーティングを行うなど対策を行うことでカバーが可能です。しかし、そもそもコミュニケーションが嫌いな方はプログラマーを続けていくことは難しいでしょう。
うつ病を患っている
大人になってから発達障害であることが分かった方などは、障害による職場での軋轢などからうつ病になってしまっている方が珍しくありません。プログラマーはうつ病の発症率が高い職業のため、そうした方は注意してください。プログラマーがうつになる原因は、プロジェクトメンバーとの人間関係や過酷な労働条件が原因となる場合が多いです。プログラマーとしての就職を考える場合は、職場の雰囲気や労働条件の確認をしっかりと行うべきでしょう。労働条件等が配慮された職場であれば、働き方を調整しやすい職業であるため、うつ病でも問題ありません。
未経験障害者でプログラミングスキルを身につける方法
プログラミングの学習方法にはさまざまなものがあります。ここではプログラミングスキルを身に付ける方法を紹介します。
独学でプログラミングを学ぶ
プログラミングは独学でも十分学習可能です。近年は無料で学習できる動画やWEBサイトが豊富に存在しています。まずは、プログラミングを学ぶ目的を明確にしておくことが重要です。目的に応じて利用すべき動画やWEBサイト、参考書を選ぶようにしましょう。独学で学習してみて難しいと感じたら、次にご紹介する職業訓練校や就労移行支援の利用をおすすめします。
職業訓練校に通う
職業訓練校は、就職に生かせる知識やスキルを学習できる公的制度です。基本的には無料で利用できます。3~6ヶ月コースが一般的で、専門的な学習だけでなく就職のサポートも受けられます。利用するためにはハローワークで申込み手続きを行い、書類選考や面接を行います。まずは居住地域のハローワークで、通えるエリアの職業訓練校にプログラミングを学べるコースがあるか確認しましょう。
就労移行支援を利用して学ぶ
就労移行支援とは、65歳未満の就職を目指している障害者の就職活動をサポートする福祉施設のことです。主にビジネススキル・パソコンスキル・コミュニケーションスキルなどの訓練を行います。就労移行支援事業所のなかにはITに特化した事業所があり、プログラミングの学習も可能です。福祉施設のため障害者に対する理解があり、心のケアや悩み相談などを親身に行ってくれることも大きなメリットでしょう。
プログラマーを目指すなら障害者の転職支援サービスを利用するのがおすすめ
発達障害を抱えながらプログラマーとしての就職を考える方は、障害者向けの転職支援サービスを利用をおすすめします。ここでは、障害者の転職支援サービスを利用するメリットをご紹介します。
長期的なキャリア設計をサポートしてもらえる
障害者の将来を見据えて、支援スタッフがやりがい・保有スキル・働きたい環境・希望年収など幅広い観点からヒアリングしてくれます。ヒアリング内容をもとに長期的なキャリア設計を構築、サポートしてもらえます。
支援実績から的確なアドバイスがもらえる
障害者の就労支援実績を持つアドバイザーから、履歴書・職務経歴書・自己PRの書き方を教えてもらえます。また、過去の面接通過者のデータを元にした面接対策など的確なアドバイスを得られます。
独自のネットワークから獲得した非公開求人を取り揃えている
転職支援サービスの多くは独自の求人ネットワークを持っており、非公開の正社員求人や専門的なスキルを活かせる求人などを取り揃えています。業種・職種も幅広くカバーしているため、求職者のニーズに合った求人を紹介してもらえるでしょう。
まとめ
今回は発達障害を抱える方がプログラマーとしての就職を目指すために役立つ情報として、プログラマーの業務解説や学習方法、転職サービスなどを解説しました。発達障害者や未経験者であっても、向上心を持ち継続してプログラミング学習することが重要です。現在のIT業界は急速な市場拡大により、人材の供給が追いついていません。そのため、学習により知識やスキルを身に付けられれば、プログラマーとして活躍できる可能性は十分にあるでしょう。