急性ストレス障害になったらお仕事はどうする?治療法や復職のタイミングをご紹介

2022年12月8日

ハートを持つ手
災害や事故などで生命の危機にさらされたり、暴力被害を受けたりといった心的外傷体験は、さまざまな精神疾患の原因となります。その1つが急性ストレス障害です。
急性ストレス障害は、心的外傷体験によるストレスに対する強い反応が特徴となる病気で、発症すると仕事に支障が出てしまい、休職せざるを得ないケースもあります。また、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に発展することも少なくありません。
この記事では、急性ストレス障害の症状や原因、治療法などとともに、復職のタイミングや復職前におすすめのリワークプログラムについてご紹介します。

急性ストレス障害とはどんな病気か

まず、急性ストレス障害とはどのような病気なのか、理解を深めていきましょう。ここでは、急性ストレス障害の症状と原因、そしてPTSD(心的外傷後ストレス障害)との違いについてご紹介します。

急性ストレス障害の症状

急性ストレス障害で生じる症状は、後ほど紹介するPTSD(心的外傷後ストレス障害)と類似したものが多く見られます。例えば、原因となった辛い出来事を思い出したり再び体験したりするように感じる「フラッシュバック」や、辛い体験を思い出してしまいそうな物事を避ける症状、寝ている時に辛い体験の夢を見る症状などです。
そのほか、自分が自己から切り離されて、遠くから自分を見下ろして見ていると感じる症状も起こり得ます。これを「解離症状」と呼びます。また、いらだったり大きな音に過剰に驚いたり、現実感を失って放心状態になったりというものも症状の一つです。

急性ストレス障害の原因

急性ストレス障害は、「心的外傷体験」によって引き起こされます。心的外傷体験は「トラウマ」とも呼ばれ、以下のような心の傷となりうる辛い体験のことです。
・災害や事故などによって自分の生命に危険が及ぶ
・暴行被害によって著しく尊厳を傷付けられる
・凄惨な事故を目撃する
・近親者や友人などが災害や事故などで命を落とす
・大きなケガを負うなど
急性ストレス障害は、心的外傷体験を経験してから数日~数週間で症状が現れることが多くありますが、何年も経ってから発症するケースも珍しくありません。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)との違い

急性ストレス障害とPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、症状や原因がよく似ています。この2つの病気には関連性があり、急性ストレス障害が1週間以上続いているとPTSDに診断名が変わります。つまり、急性ストレス障害は、PTSDの前駆症状とも言えるのです。
急性ストレス障害は、1ヶ月以内に症状が回復することが多くあります。円滑に症状を回復させ、PTSDに発展することを防ぐには、家族や友人といった周囲の方が協力して心の傷を癒し、精神科・心療内科の医師や心理士、支援者などに相談することが望ましいでしょう。

急性ストレス障害の治療

では、急性ストレス障害の治療法にはどのようなものがあるでしょうか。PTSDにならないために、も早めのケアが大切です。以下で代表的な治療法を3つご紹介します。

精神療法と暴露療法

急性ストレス障害の場合は、精神療法と暴露療法がとても有効な治療法とされています。主な精神療法は「認知行動療法」です。これは、認知と呼ばれる物事の考え方や、現在問題となっている行動などを医師や心理士と一緒に見つめ直して、陥りやすい思考や感情のパターンに気付き、ストレスをコントロールする治療法です。最初は病気に対する認知を改善することから開始し、どのような場面で強い不安を感じるのかを徐々に理解していきます。
一方、暴露療法は、強い不安やストレスを感じる場所に意図的に行くことで心身を慣れさせる治療法を指します。不安やストレスを感じる場所などを回避することで、症状が悪化したり慢性化したりするため、それを避ける狙いで段階的に行われています。暴露療法は、急性ストレス障害をはじめとする多くの不安障害に効果があると言われています。ただし、専門の医師が診察をして、開始できるかを慎重に判断した上で行わなければなりません。

家族や友人などにつらいことを話す

自分が受けた悲しみや辛い気持ちを話し理解して傾聴してもらうことは、急性ストレス障害において重要な治療法です。話をする相手は、家族や友人、恋人やパートナーなどのほか、心理士やカウンセラー、心的外傷体験を受けた人を支援するグループの方などが挙げられます。
家族や友人は、患者が話したいと思うことだけを話してもらい、話したくないことに関しては無理に聞き出さない姿勢で傾聴することが大切です。

処方薬を服用する(薬物療法)

入眠困難などの睡眠障害が強く出ている場合や、不安な気持ちが強く出ている場合には、症状に応じて薬が処方されることもあるでしょう。しかし、世界保健機関(WHO)においては、急性ストレス障害に薬物療法は望ましくないとされています。そのため、先ほどの心的外傷を思い出す物事から離れて、周囲と話をしたり、カウンセリングを受けたりする治療が優先されます。

急性ストレス障害とお仕事

急性ストレス障害は、症状が重い場合やPTSDに発展してしまった場合、休職を余儀なくされる恐れがあります。その場合は、どのように復職を目指していけばいいでしょうか。考えられる方法を以下でご紹介します。

復職する際のタイミング

急性ストレス障害やPTSDの症状などによって休職した場合、復職するタイミングについて悩まれる方も多いでしょう。復職するタイミングとして望ましいのは、自分が仕事に戻れるという意識があり、なおかつ医師からも復職して良いという判断が下されている場合です。十分に回復していると医師が判断すれば、医師が診断書を書きます。また、企業によっては、リハビリとしての試し出勤制度を設けているところもあるため、相談してみると良いでしょう。
なお、仕事復帰した後も、少なくとも月に1度は職場の人事部などに現在の状態を報告することが望ましいと言えます。

焦らず回復を待つことも大切

急性ストレス障害やPTSDによって休職中の場合、「早く職場に復帰したい」という気持ちを持たれる方が多いかもしれません。しかし、焦ってしまうことで症状が悪化したり、再発したりしては元も子もありません。
症状の悪化や再発によって休職期間がさらに延びてしまい、ますます焦ってしまうという悪循環につながる恐れもあるため、休職期間中は睡眠や食事などの生活リズムを整えることに専念しましょう。また、飲酒や喫煙の量など、生活習慣の悪化には気を付けなければいけません。

復職前におすすめ! リワークプログラム

休職期間中に心身を休めて働ける兆しが見えてきたら、「リワークプログラム」を受けることをおすすめします。リワークプログラムとは、精神疾患が原因で休職を余儀なくされた方に向けて行われる職場復帰に向けてのリハビリテーションです。リワークという名前は「Return to Work」の略称から名付けられました。
リワークプログラムが実施されるのは、地域の障害者職業センターや医療機関などです。決まった時間に実施施設に通うこと自体が、職場への通勤を想定した訓練になります。
「復職はしたいが自信がない」という方や「復職を考えているが医師の許可が下りていない」という方におすすめのプログラムです。

急性ストレス障害の方に向いている仕事とは

急性ストレス障害やPTSDを抱えている方の就職・転職は、病気の状態に合わせた仕事選びが大切です。以下で急性ストレス障害の方に向いている仕事や、仕事選びの際に利用できる2つのサービスについてご紹介します。

急性ストレス障害の方に向いている仕事

急性ストレス障害やPTSDは、病気の特性上不眠や不安、イライラなどを感じやすく、出社が困難になることも少なくありません。また、職場の環境や通勤中などに心的外傷体験を思い出してしまうこともあります。
このようなことが理由で職場に出社して勤務することが難しいと感じる場合は、在宅ワークを検討してみても良いでしょう。在宅ワークであれば、安心できる環境で仕事を進められます。在宅ワークとして代表的な仕事は、テープ起こしやデータ入力、Webライティングなどです。
在宅ワークの仕事は、主にクラウドソーシングサイトから見つけられます。未経験でも始めやすいのが特徴で、ITスキルがある方であれば、コーディングなどのWeb制作のお仕事を選んで高収入を得られるでしょう。

大切なのは条件に合った職場を探すこと

急性ストレス障害になった場合、症状がある程度落ち着いたとしても職場の雰囲気などで再発することが考えられます。そのため、転職する際は、業務内容だけでなく職場の雰囲気も重視する必要があります。
しかし、求人票だけで職場の雰囲気を予測することは難しいでしょう。職場の雰囲気を把握したいなら、ハローワークにある専門援助窓口(障害者窓口)を利用がおすすめです。この窓口には精神障害などの専門知識を持っている職員や相談員が配置されているため、自身の障害・病気の状態について相談しながら仕事を探せます。

仕事探しが大変な場合は転職エージェントを利用しよう

急性ストレス障害やPTSDなどで転職を考えている方は、「転職エージェント」を利用することも効果的です。転職エージェントとは、転職希望者と中途採用を希望する企業とをマッチングさせてくれる企業のことを言います。求職者のスキルや要望に合わせて企業を紹介してくれるだけでなく、求職者自身からは聞きにくい給与面についても相談に乗ってくれるため、安心です。
また、転職エージェントのなかには、障害者雇用に特化した企業もあります。急性ストレス障害が長引いてPTSDになってしまい、結果的に障害者手帳を取得することになった方にも心強いサービスと言えます。

まとめ

急性ストレス障害は、適切な支援や治療を受ければ完治が見込める病気ですが、PTSDに進展する危険性があり、フラッシュバック(思い出し)や解離症状など、つらい症状が起こるため休職に至ることも少なくありません。
休職に至った場合は、この記事でご紹介したように生活リズムや生活習慣に気を付けながら、リワークプログラムを受けるなどして、焦らずに少しずつ復職に向けて進んでいくことが大切です。