精神障害者に向いている仕事や職種は?障害者雇用のポイントを解説
精神障害を抱えている方の中には、不安を抱きやすかったり気分が落ち込みやすかったりして、働きにくさを感じている方も多いのではないでしょうか。
精神障害で働き方について悩んでいる場合は、雇用枠や仕事内容を見直した方がいいかもしれません。
今回は、精神障害を抱えている方の就職・雇用の概況や、向いている仕事について解説していきます。
精神障害者は障害者雇用で就職しやすくなっている!
厚生労働省の「令和3年度障害者職業紹介状況等」によると、精神障害者の就職率はここ10年で約0.8%上昇しており、就職件数は約1.92倍にも増えています。
このことから、精神障害者は以前よりも就職しやすくなったと言えます。
理由としては「障害者雇用促進法」の改正が挙げられます。この法律により、企業はその規模に応じて一定数の障害者を雇用することが義務付けられています。
以前は身体障害者と知的障害者のみが対象となっていましたが、2018年の法改正により精神障害者も障害者雇用促進法の対象と明記されるようになりました。
これにより、今後はますます精神障害者が就職しやすい企業が増えていくと予想されます。
今まで精神障害が原因で仕事ができなかったという方も、障害に対して理解のある企業や障害者雇用枠が増えた近年であれば、自分らしく働ける企業が見つかるかもしれません。
精神障害者の雇用状況
精神障害者の方が就職しやすくなった結果、昨今の雇用状況はどうなっているのでしょうか。ここからは、精神障害者の雇用状況について詳しくみていきましょう。
精神障害者の求職者・就職件数は過去最高
精精神障害者の新規求職申込み件数はここ10年で年々増えてきており、令和3年の時点では約10.8万人の方が新しく就職先を探している状態です。
それにともない就職件数も年々増えており、令和3年は約4.5万人の方が就職していることがわかっています。10年前の平成24年の時点では新規求職者が5.7万人、就職件数が2,3万人だったので、どちらの数値も増えていることが読み取れます。
令和3年の求職者数は過去最高水準です。その背景には、障害者雇用促進法の改正による精神障害者雇用の促進だけではなく、企業や世間の障害に対する理解が深まっていることも要因として挙げられるでしょう。
精神障害者の職場定着率は非常に低い
就職率が高くなっている精神障害者ですが、一方で職場定着率が非常に低いことが問題になっています。
厚生労働省の「雇用動向調査 」によると、労働者全体における2021年の平均離職率は13.9%でした。
一方で、2017年に行われた「独立行政法人 高齢・障害・求人者雇用支援機構」の調査によると、精神障害者の1年後の離職率は49.3%だということがわかっています。
たとえうまく就職ができたとしても、企業の配慮が足りない場合や仕事内容が合わない場合は、仕事を続けることができないケースが多いのです。
精神障害者の5割が障害者雇用で就労している
独立行政法人 高齢・障害・求人者雇用支援機構の調査では、精神障害者の47%が障害者求人で雇用されており、17%が一般求人障害開示(オープン)、34%が一般求人障害非開示(クローズ)で雇用されていることがわかっています。
精神障害者はほかの障害と比べると障害をクローズにして就職する方の割合が高く、そのせいで職場環境が合わずに離職してしまう方が多くなってしまう傾向にあります。
精神障害者の中には、障害をオープンにして求職をすることに抵抗を抱く方もいるかもしれません。しかし長期的な就労を望むのであれば、障害に配慮してもらえる企業を選ぶことは非常に重要です。
精神障害者に向いている仕事や職種
それでは、精神障害者の方が求職活動をするときは、どのような仕事や職種を検討したらいいのでしょうか。
ここからは、精神障害者に向いている仕事について紹介していきます。
①自分のペースで進められる仕事
精神障害者には環境の変化に対して不安や焦燥感を抱きやすい方が多く、スケジュールがタイトな仕事やノルマに追われる仕事を苦手とする傾向にあります。
具合が悪くても無理をしてしまう方も多いので、自分のペースでこなせる仕事の方が向いていると言えるでしょう。
例えば、自分のペースで進められる仕事として、以下のようなものが挙げられます。
- ドライバー
- 研究職
- ルート営業
- 警備員や施設管理
- 人事や総務などの事務職
- クリエイター
- 職人
- 自営業
誰かの頻繁な指示やノルマの重圧がある仕事だと、精神障害者はプレッシャーを感じて体調を崩しやすくなります。ある程度自分の裁量で働ける、上記のような仕事の求人を優先的に探してみましょう。
②テレワークでできる仕事
テレワークで働ける仕事も、精神障害者の方に向いている仕事です。
通勤や人間関係によるストレスを感じにくく、体調に合わせて業務ができるところが大きなメリットです。近年はテレワークで働ける仕事が増えてきており、以前よりも気軽に求人を探しやすくなりました。
テレワークでできる仕事としては、例えば以下のような職種が挙げられます。
- 事務職
- システムエンジニア
- プログラマー
- Webデザイナー
- ライターや編集者
最近は、電話やEメールなど非対面でコミュニケーションを取りながら集客する営業職である「インサイドセールス」をしている企業も増えてきています。
企業によってテレワークを実施している仕事は異なるので、上記以外にも気になる職業がある場合はチャレンジしてみてもいいでしょう。
③障害への配慮がある企業での仕事
紹介してきた仕事の他に目指している仕事がある場合は、企業がどの程度配慮してくれるのかを確認した上で応募を検討しましょう。
一口に障害者雇用と言っても、障害者に対する配慮の度合いは企業によって実にさまざまです。
全社的にサポート体制が整っている企業もあれば、表向きには障害者雇用制度に対応していても実際には受け入れ体制が不十分な企業もあります。
「体調不良の日や通院日は休める」「業務内容を相談しながら決められる」など、障害に合わせて柔軟に対処してくれる企業を選びましょう。
障害者雇用であっても、キャリアアップを支援してくれる体制が整っている企業も多く存在しています。
ただし、そういった条件を満たす企業を自分で見つけることは難しいため、転職エージェントや支援機関の専門的なサポートを受けながら求職活動を進めていきましょう。
精神障害者が就職・転職活動をするときのポイント
精神障害者が就職・転職活動をするときは、どのような点に気をつければいいのでしょうか。
ここからは、精神障害者が就活を成功させるためのポイントについてみていきましょう。
①無理のない採用枠・雇用形態にする
精神障害者が就職をするときは、採用枠や雇用形態をどうするのかについてしっかりと考えておく必要があります。
障害者雇用であれば通院時や体調不良時に勤務時間の配慮を受けられるようになりますが、一般枠と比べると求人数が減るので求職活動に時間がかかるため注意が必要です。
また、一般枠は平均給与が高い分、長時間の勤務や責任の高い仕事が要求されることがあります。そのため、症状によってはパートや契約社員として就業する方が、負担を抑えられる場合もあるでしょう。
正社員とパート・契約社員はそれぞれメリット・デメリットがある働き方であり、どの働き方が適しているかは人それぞれです。
主治医や支援機関と相談しながら、ご自身に合った採用枠や雇用形態を選ぶことが大切です。
②障害の症状を理解しておく
精神障害者の方が働く上で大切なのが、ご自身の症状を理解しておくことです。
- どのような症状があるのか
- どんなときに症状が出やすいのか
- 症状が出たときはどう対処するといいのか
上記のポイントを整理しておくと、仕事を始めたときに体調をコントロールしやすくなります。
また、オープンで求職活動をするときに症状とその対処法を採用担当者へ伝えられると、「自分を客観視できている」として企業に好印象を与える効果が見込めます。
③障害者手帳の有効期限を確認しておく
障害者雇用枠での就職を考えている場合は、障害者手帳が必須となります。
就職活動中に期限が切れてしまいそうな方や、まだ障害者手帳を取得していない方は、就職活動に間に合うように更新や交付申請をしておきましょう。
精神障害者保険福祉手帳の有効期限は取得から2年間です。期限が切れてしまうと障害者雇用枠の制度を活用できなくなるので、有効期限の3ヶ月前までには更新手続きの準備を進めておきましょう。
更新手続きでは等級の再審査を経て再発行が行われるので、就職活動の時期に応じて自治体の役所に必要書類を提出する必要があります。
精神障害者にぴったりな仕事を探すなら転職エージェントへ
精神障害者の方は以前と比べると就職しやすくなっていますが、就職後の離職率が高く仕事が続きにくい傾向にあります。早期離職をしないためにも、障害者雇用や精神障害に向いている仕事の求人を探すようにしていきましょう。
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